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介護の本書評「review-kaigo」

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第366回 続・死ねない老人

新型コロナウイルスが「死」の意識を変えた

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

続・死ねない老人
杉浦 敏之 (著)

内容

どんな人でも生きた先には必ず死を迎える。大切な人生の終わりを辛いものにしないため、生きている間に何ができるのか。日本は「死」をどのように捉えているのか。新たな終末医療や看取りのあり方を解説。自分の最期をどのように考え、誰にどう意思表示するのが幸せになるのか、そして周囲の家族は介護者をどの用にサポートしていけば良いのか、本書ではより具体的な解決策を提言している。

書評

人生の終末期段階で運ばれた病院で延命治療が施され、本人の意思に反して生かされてしまう……。予想外に長く続く老後の中で、生きがいを失い、生きていたくもないが死ぬこともできない……。そんな「死ねない老人」が増えている。

4年前に著者が記した著書『死ねない老人』から4年。「死ねない老人」を取りまく環境は少しずつ変化しているという。徐々に社会が「死ねない老人」に視線を向け始めているというのだ。しかしながら、現場ではまだまだ厳しい現実が横たわっているという。たとえば、自宅での看取りを希望していても家族が救急車を呼んでしまい、蘇生措置が施されてしまうケースだ。そうなると、無機質な病室で苦痛に耐えながら最期を迎えてしまうことになる。日本では「穏やかな死」を迎えることが本当に難しい、と筆者。

本書では現代日本の「死」を取りまく現状に加え、ここ数年で注目されるようになった終末期医療や看取りのあり方について解説されている。それと同時に、自分の最期をどう考え、どう意思表示すれば良いのか、そして家族はどのようにサポートすれば良いのか、わかりやすく解説されている。「死ねない老人」に対して、どのような救いの光を当てられるのか、より具体的な解決策を提言すべく意識されている。

だれもが「尊厳ある穏やかな死」を迎える権利を持っている。だが、その実現にはまだ時間が必要だ。一人でも多くの人がそこへ迎える情報を本書で得られることを願う。

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