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介護の本書評「review-kaigo」

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第360回 認知症の人を理解したいと思ったときに読む本

症状改善に結びつく周囲の「あり方」や「付き合い方」がわかる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症の人を理解したいと思ったときに読む本
内門大丈 (監修)

内容

認知症になったら「徘徊する」「暴力的になる」「全部わからなくなる」「何もできなくなる」と思っていないだろうか。実は認知症になっても昔のことは記憶しているし、人の気持ちも良く理解できるという。環境を整え、適切なサポートをすればできることも多いという。そして穏やかな気持ちで社会生活を送ることだってできるという。本書では、知っているのと以内のでは大違いとも言える、認知症の人とともに生きるために欠かせないことが紹介されている。

書評

医療や介護の現場にいる人は、人は必ず年を重ね、置いていくのだと実感するという。筆者が見ていた認知症の人の介護者が、数年後には自身が認知症になり、そのお子さんたちとの付き合いが始まることも決して珍しいことではないという。さらには、若年性や脳腫瘍、頭部外傷などで若くして認知症医なる人も少なくないという。

本書では、認知症の人の気持ちを知り、どう対応すればよいかを認知症の人を抱える家族向けに記されている。さらに、対人関係を円滑にするヒントも含まれている。これは「認知症であろうがなかろうが、人としてどう接するか」が認知症の人と生活するのに不可欠な視点だから、と筆者は語る。

認知症初期の人なら、その人自身にこの本を薦めてみて欲しい、と筆者。認知症でもすべてがわからなくなるわけではなく、人生が終わるわけでもない。今後の生き方を考える一助になるかもしれないという。また、今認知症じゃなくても、今後認知症と関わることになるかもしれない人にも読んで欲しいという。

認知症に優しいコミュニティーとは、認知症の人も層ではない人もお互いの違いを理解し、協力糸、居心地のよい社会を創ること。筆者は本書が多くの人に読まれることで、そんな社会が少しでも早く訪れることを願っている。

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