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介護の本書評「review-kaigo」

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第346回 介護施設は「人」で選べ

介護施設を多角的な目で選別せよ

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

介護施設は「人」で選べ
たくき よしみつ(著)

内容

認知症の要介護親を持った子どもの立場に立って見える風景を溶解していくれる書籍は少ない。本書は、介護施設探しから看取りまでに経験する難問の数々をいかに解いていくかが「本音」で書かれている。介護現場の実情や実態を実体験も交えてわかりやすく解説してくれている。

書評

筆者は本書を「よくある介護ガイドブックやハウツー本のタグイとは異なる」と宣言している。介護施設や特養で過ごしていた両親を看取った経験ともとに、介護関係者らと交流や勉強を重ねてきたという。それぞれが施設に巡り合うまでのプロセスはたくさんの紆余曲折があり、入居させるまでも、入居後もさまざまなトラブルに直面したという。

そうした体験から筆者が感じたのは、「一般の人の目に触れる介護案内の内容、実はあまり役に立たない」ということだった。「特養だからこう、一般介護施設だからこう」といういわゆる一般論はまったく通じなかったそうだ。しかも、従来のマニュアル通りに介護施設を探していても、決して良い施設に巡り合うことはない、とまで断言している。

特に特養への入居は絶望的な困難さが伴うという。しかも、要介護3以上しか入居できなくなると、特養の質が一気に低下したという事例も増えているという。特養に入居できない介護難民のために、老健が特養の待機所のような役割を果たしている時期もあったが、これも制度改定で厳しくなっている。

その結果、介護施設探しは介護付き有料老人ホームとサ高住が中心となっている。こうした施設はパンフレットや見学しただけではわからない。名前が同じグループの施設でも、施設長の人となりによって天国と地獄の差が生まれるのだそう。

本書では、本来出てきにくい情報をいかに収集するか、良い介護施設に辿り着くための具体的な戦略について赤裸々かつ「超本音」で記されている。こうした施設への入居が必要な親を抱える子どもは必携の一冊と言えるかもしれない。

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