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介護の本書評「review-kaigo」

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第326回 高齢者に「キレない」技術

「キレない」コントロール力で知性がわかる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

高齢者に「キレない」技術
川上 淳子(著)

内容

「キレる老人」や「暴走老人」といった言葉が世間を騒がせる現代社会。そうした状況下でアンガーマネジメントの理論と技術をもって高齢者と上手につきあい、対処していくノウハウが紹介されている。なぜ怒りには「怒り」で応戦してはいけないのかがわかる一冊。

書評

近年、家庭や職場で高齢者と向き合う人の中では、高齢者の怒りの言動に対して、切実な悩みを抱えている人が多いという。

現在、日本は高齢化が急速に進行している。政府は70歳までの就業機会の拡大、さらには公的年金受給開始年齢についても70歳超を選択できる仕組みを検討している。「還暦は社会からの卒業」というのは、もはや過去の話なのだ。

その一方で高齢化と犯罪が相関関係にあることも憂慮されている。高齢者の犯罪が増えている中で、高齢者が抱える課題への対処が必要だ。それには怒りに関する理論と技術が必要だと筆者は語っている。怒りの感情のコントロールができるかできないかで人生の方向も質も変わってくる。怒りの感情は衝動的で扱いが難しく、一瞬で人生全体を破壊してしまいかねないの危うさを孕んでいるのだ。

本書は「家庭編」と「看護・介護編」に分かれており、それぞれのシチュエーションで活用できるアンガーマネジメントの理論と技術が解説されている。アンガーマネジメントの理論と技術があれば、怒りの裏にある気持ちに気づく方法、怒りに応戦することなく上手に切り返していく術を身につけることができる、と筆者は語る。イライラ、クタクタ、うんざり、といった具合に、悲鳴を上げる心をいかにコントロールしていくか……。

介護だけではなく、現代社会を上手に生き抜いていくためには必要な技術かもしれないと感じた。

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