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介護の本書評「review-kaigo」

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第237回 人間だから、一緒だよ。

子育ても介護も、人間の基本に付き合うこと。

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人間だから、一緒だよ。介護家族と子育てママの共通点 (Parade books)
石井英寿

内容

赤ちゃんが0歳、初めて子どもを産んだママも年齢0歳、初めて介護する時も介護年齢0歳。介護する人は圧倒的に女性が多い中で、筆者は介護を子育てと重ね合わせることで、その大変さやイライラの一部が解消されると語る。みんな人間なのだ。そして未経験を体験する時は、皆0歳同様なのだ。

書評

介護会社を設立し、多くの高齢者の介護に当たってきた筆者。4人の子どもがいるが、子育ては奥様に任せっきりだそうだ。奥様が子育てに奮闘する姿を見ていると、高齢者の介護と子育てには、たくさんの共通点があるという。どちらも同じ人間なのだ。

昭和の頃は「心の豊かさ」が今よりもあったという。近所のつながりや団地の雰囲気、家族でのチャンネル争い、おままごと、紙芝居、駄菓子屋。人と人がつながりを持てる場所や機会が、そこら中に転がっていた時代。そんな時代には、色々なことを教えてくれる人がたくさんいた。おじいちゃんやおばあちゃん、近所のおばちゃん、いつも注意してくれるおじちゃんなど……。

そこには子育てや介護に関してアドバイスができる「自然な環境」があったという。昔はごく自然に、地域全体で介護や子育てをしていたのだ。その人達が老いていく中で、子どもたちは介護や高齢者との接し方を学んだ。そして「死」や「老い」を学んできたのだ。

さらに今は、情報収集手段が人からネットやSNSになり、そればかりに固執する人が増えたという。「白黒を付けないといけない世の中になった」と筆者。世の中は、事情や人によって違うことばかりなのに、本質を見ることなく「あるべき」論だけがひとり歩きする世の中になっているのだ。

多様性を認めることができれば、社会はもっと住み良くなる、と筆者。本書では「さまざまな人がいて、より多様な人たちと接することで、人は豊かになる」ことを感じることができるだろう。

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