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介護の本書評「review-kaigo」

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第218回 母がおカネをかくします。

みんな、介護で悩んでいるのだ。

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母がおカネをかくします。: 介護110番 (実用単行本)
吉川 浩

内容

日本最大級の介護コミュニティサイト「介護110番」の掲示板「何でも相談室」の相談スレッドを書籍化。経験者ならではの介護を乗り切るヒントや、介護サービスや高齢者の運転免許など、知っておきたい情報がしっかりと解説されている。

書評

「介護」のある生活は、ある日突然やってくる。気がついたときには「要介護者」や「介護家族」となり、初めての介護に大混乱する。そして先の見えない現実に頭を抱えてしまう。介護保険制度がいくら充実しても、制度ではカバーしきれない、介護する側のさまざまな物理的、精神的な負担、いわゆる「見えない介護」があるため、介護はつらく苦しいものとされる。また、現実の「介護」は、親子関係や経済力だけではなく、近所や親戚からの目、倫理観など、多種多様な物理的、精神的要因が絡み合う。

制度面は整備されつつあるが、老親への愛があるからこそ施設などに預けることができずに苦しむ「見えない介護」の部分は、在宅介護への移行が叫ばれるほどに介護者を追い詰めていくだろう本書の内容は、そうした悩める人々が集まるコミュニティ「介護110番」から生まれた。

1999年に開設されたこのコミュニティには、さまざまな悩みが寄せられるという。これまで介護で苦しんできた家族、介護や医療のプロが、経験に基づいたアイディアや励ましの言葉を語る。「うちも同じ」という共感「しっかり手を抜こう」という励ましなど、情報と知識が集まる場所となっている。

介護に悩む人は、先達の経験が記された本書で介護生活を少しでも楽なものにしていただければと思う。かけがえのない自分の人生が一番なのだから。

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