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介護の本書評「review-kaigo」

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第169回 2025年 介護保険は使えない?

老後を守るためにできることはまだある!

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2025年 介護保険は使えない? (介護保険ブックレット3)
大阪社保協・介護保険対策委員会/内海聡子、奥村慶雄、日下部雅喜、福永幸子、寺内順子

内容

多くの人が介護保険を払い続けているが、その介護保険は、実際に介護が必要となった時に役に立ってくれるのだろうか。現在、65歳以上で介護保険を支払ながら介護保険の適用を受けている人の多くが、保険料が高いと考えているという。本書では、介護保険や介護制度に関する制度改革への提言がされている。

書評

介護保険を利用するには、65歳以上になっても高い介護保険料を払い続けなければならない。高い介護保険料を払い続ける一方で困った時に助けてくれるのかというと、「状態が変わらないのに要介護度が下がった」「あれこれできないといわれる」など、あきらめの声が上がる。

2025年は団塊の世代が75歳に達し、高齢者率がここから10年間ピークとなると予測されている。介護保険は、介護をするためというより、財政圧縮のために導入されたと本書は語っている。つまり、医療系サービスをできるだけ安上がりな福祉系サービスにシフトさせていくということだ。社会保障制度改革推進法では介護サービスの「範囲の的市営か」と「効率化と重点化」というなんとも耳障りの良い言葉に置き換えられている。要は、介護保険サービスを使う人の範囲をできるだけ狭くし、少ない財源で重度の人だけを効率よく介護する、と読み替えることができる。

本書では、今何が決まっているのか、を正しく理解するところから始まる。そして、それをそのまま諦めて受け入れるのではなく、運動によって流れを変え、改悪を止めることを目標としている。そのため、本書は、介護保険の制度の解説や検証に加え、現在議論されている内容と介護制度改革への提言と地域での運動課題について書かれている。本当に介護保険制度について考えたい人におすすめかもしれない。

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