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介護の本書評「review-kaigo」

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第394回 認知症のリアル

大丈夫と思いたい。でも知っておけば準備できる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症のリアル
近藤 靖子 (著)

内容

認知症という言葉は聞き慣れていても、認知症の症状の進行速度や異常行動野生心状況については具体的に知らない人がほとんど。本書では、高齢者認知症外来、訪問診療を長年行ってきた専門医が「認知症の進行速度」や「異常行動への対処方法」など患者のリアルと、役立つアドバイスが紹介、解説されている。

書評

主に高齢者医療を専門とする筆者。そもそも認知症をテーマとしたのは、日常的に認知症高齢者の診療を外来だけではなく、訪問診療も行っており、医療だけではなく介護についても適切なアドバイスができると考えたから。最近、認知症患者の家族は認知症に対する認識や将来の見通しが甘すぎると感じていた、と筆者。自体を軽く見ている場面に多々出くわしていたという。

家族はどうしても「まだ元気」、「これ以上病気が進行するのは先のこと」と考えがち。だが、認知症の進行は着実で、病状が急変すれば対応が後手にまわることも少なくない。その時に後悔しても、その後悔はもう取り戻すことができないケースが多いのだ。

筆者からの家族へのアドバイスは主にふたつ。ひとつは認知症状の進行と介護の負担の増大を見越して準備を心掛けること。最初は負担が軽くても、徐々に、そして着実に負担は重くなるので、最初から分担や家族間の意思疎通が大切だという。

そしてもうひとつは認知症が中等症に進行した時、その人の人生の最終段階が近づいていると認識すること。認知症患者の寿命は、症状が出てから数年から10年程度とされているからだ。

このふたつのアドバイスを胸に、しっかりと認知症患者との時間を過ごしてほしいと筆者は願っている。

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