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介護の本書評「review-kaigo」

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第391回 認知症診断の不都合な真実

その診断は誤診かもしれない?!

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症診断の不都合な真実
磯野 浩 (著)

内容

昨今、老年期の「もの忘れ」や「判断ミス」、「異常行動」などの症状を安易に認知症とひとくくりに診断されている、と筆者。その原因となっているのが、認知症を含む老年期の精神疾患に対する知識や能力が欠如したかかりつけ医の存在だという。また、「認知症サポート医」も同様に知識や能力が不足した医師がいるというのだ…。

書評

認知症は非常に診断が難しい病気。認知症と似た症状を発症する病気が多いのだ。また、高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースも多く、それらが関連し合って「もの忘れ」などの認知機能低下や「妄想」の原因となっている。

とりわけ「老人性うつ」や「妄想性障害」、「せん妄」などの精神科領域の疾患は認知症と症状がよく似ており、精神科医ですら認知症と見分けるのが難しいという。実際に、筆者のもとを訪れる「認知症疑い」の患者のうち、実に半数以上が認知症ではなかったという事実があるという。知識が欠如した医師の安易な診断を信じ、何年も全く効かない薬を飲み続け、効果がないどころか、逆に症状を悪化させてしまうことすらあるのだ。

筆者は20年以上に渡り、老年精神医学の専門医として患者の診察にあたってきた。本書は「誤診で不幸な人生を歩まないための「正しい知識」を伝えたい、と本書を執筆したそうだ。本書では、現在の認知症診断を巡るさまざまな問題点と、信頼できる医師の見つけ方や見極め方、そのために必要な認知症を含む老年期の精神疾患について、正しく解説されている。筆者は一人でも多くの人が本書によって安寧な日々を送れるようにと祈っている。

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