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介護の本書評「review-kaigo」

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第390回 認知症の人は何を考えているのか?

不可解な言動に隠された「想い」がわかる?!

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

認知症の人は何を考えているのか?
渡辺 哲弘 (著)

内容

本書の著者は認知症介護指導者。「認知症だから、は単なる思考停止」、「認知症の怖さは人との絆が切れることにある」、「一見、落ち着いている高齢者も実は狙っている」、「介護職の仕事は、目の前の『人』を見ること」、「30分集中できることがあれば介護はラクになる」など、目からウロコの認知症論が解説されている。

書評

認知症にはさまざまな薬が存在する。これらの薬を認知症の早い段階から使うことで、認知症の進行を緩やかにできると言われている。しかし、筆者は認知症には薬よりも効くものがあるという。それは「人々の関わりである」と。医師も「認知症に対して薬でできることは2割、あとの8割は関わり方」と考えているそうだ。つまり、認知症に対しては薬よりもずっと介護職や介護家族の方が影響力があるというのだ。

認知症は何もわからなくなる病気と思われているが、そんなに急に進行したりしない。何年もかけてゆっくりと進行するのが普通なのだ。今や人生100年時代を迎え、高齢者が認知症とともに生きる時間はこれまでより長くなるかもしれないのだ。介護職や介護家族の関わりが、認知症の進行を緩やかにし、そうして生まれた長い時間を最後まで穏やかに過ごせるようにできるのだ。『人の関わり』にはそれほど大きな可能性が秘められているのだ。

「適切な関わり」がカギになるという筆者。適切な関わりに大切なのは、「この人は今、どんな気持ちなのか?」と考える姿勢だという。適切に関わるには『その人』の気持ちに寄り添う必要があるのだ。筆者は「認知症は決して他人ごとではない。その時に備えてぜひ本書を読んでおいてほしい」と呼びかけている。

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