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介護の本書評「review-kaigo」

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第389回 老後の資金がありません

「老後は安泰」のはずだったのに……!

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

老後の資金がありません
垣谷 美雨 (著)

内容

娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費……しっかりと蓄えたはずの老後資金はみるみる減っていく。しかも、夫婦揃って仕事を失ってしまう。家族それぞれの金難に振り回されつつ、やりくりする嫁・篤子の奮闘は果たして報われるのか?降りかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントを与える、これは「家計応援小説」だ!

書評

後藤篤子は、しっかり者だ。自分たち夫婦の老後資金はしっかりと貯めていた。しかしその虎の子の資金をどんどん消失させる事態が彼女を襲う。娘の結婚式が派手婚で600万円の資金が必要になる。夫を含め、家族は誰も危機感を持っていない。それが彼女の危機感をさらに煽ることに。加えて舅の葬式代。冠婚葬祭はなぜこれほどお金が掛かるのか。そして幸か不幸か姑はなかなか葬式を迎えることはない様子。すると当然のように彼女が生きていくための生活支援費用が篤子の頭を悩ませる。

本書を読んで豊かな老後を過ごす上で絶対に不必要だと改めて感じるもの、それはくだらない「見栄」だ。お互いの家を行き来したことがない女友達を本当の友人と呼べるだろうか。家を見せないということは、見栄を張っているということに他ならないのだ。本書でも、篤子とサツキと美乃留がサツキの家でお茶をするシーン。そこで彼女たちはお互いに見栄を張ることをやめ、ようやく本物の友達になる。物語を読んでいればわかるが、それまで篤子はサツキの家を訪れたことがなかったのだ。

ちなみに本書を読んで感じた、豊かな老後を過ごす上で絶対に必要なものも記しておこう。それは「見栄を張らずに何でも語りあえる友達」だ。
ただ、老後の資金はしっかりと情報収集をして、できるだけ用意しておくことをおすすめする。

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