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介護の本書評「review-kaigo」

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第385回 困らない介護の教科書

介護のために、仕事を辞めなくても、同居しなくてもいい

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

困らない介護の教科書
河北美紀 (著)

内容

本書は、現役世代が「介護離職」することなく、介護にかかるお金や時間の工面をスムーズに行えるように企画された。介護で最も悩むのは「お金」。国や市町村区の制度を知らないことで、本来受けられるはずのサービスや受給できるお金、支援がもらえない、受けられないという事態を防ぐことを本書の目的のひとつとしている。

書評

日本の介護制度は「介護保険制度」の導入により、公的な団体中心のサービスから民間企業によるサービスが始まった。それにより「介護の質」の競争が起きた。そのおかげで高齢者と介護者の生活の質は一気に底上げされ、近年は、AIやICTなどの活用により、高齢者のプライバシーを守りながらも見守りや健康状態を把握できるようにもなってきた。

こうした事態や時代の流れは、子が親の介護のために仕事を辞めなくても大丈夫な時代へ、さらには親と同居しなくてもそれぞれの生活が成立する時代へと、世の中がどんどん変化している証拠でもある。

「介護保険制度は一人ひとりが主役として生きていくためのツール」と筆者は語る。介護のために、結婚や仕事、自分らしい活動や生き方を諦めてはならない。介護はひとりが一手に引き受けるものではなく、チームで、そして社会で行うものだとも。さらに、介護は暗くてツラいものではなく、最愛の親やパートナーの自立を支援する素晴らしい行為だという。

本書は全6章からなり、「教科書」とタイトルに謳うだけあって、介護というものの位置づけから始まり、保険サービスの種類、そしてお金をどう工面して上手に使っていくかなど、基本から応用までしっかりと網羅されている。ぜひ介護離職を思いとどまるきっかけにしてほしい、と筆者は願っている。

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