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介護の本書評「review-kaigo」

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第382回 よくわかる!行動分析による認知症ケア

行動分析を使って認知症ケアに取り組む

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

よくわかる!行動分析による認知症ケア
野口 代 (著)/ 山中 克夫 (著)

内容

これからの超高齢化社会では、身近な人が認知症になり、日常的に認知症の人と接する機会が増える。その時に悩んだり戸惑ったりする多くが、認知症の行動や心理症状。本書は行動分析の手法を用いながら適切な対応法を発見する流れが解説されている。認知症も観察点を知れば冷静に分析でき、対応策を実践できるという。

書評

行動分析は日本の認知症ケアの世界、現場ではまだ普及していないという。だが、国際的には認知症の行動、心理症状(BPSD)に対して有効なアプローチのひとつとされている。

有効な理由のひとつが、行動分析を用いることでBPSDが起こる理由を考えることになり、この考えることが重要ということ。しかし、どのように理由を調べ、どのように理由や原因に応じたケアを行えば良いかというところは具体的に示されてこなかった現実があるという。

行動分析がBPSD状態が繰り返される理由を調べるための科学的な方法とされているのは、BPSDの行動一つひとつに意味があるからと言える。介護をしているとBPSDにばかり目が行きがちだが、実は起きていない時の状態がカギを握っている。行動分析を用いてBPSDが起こりにくい状況を調べることで、起こりやすい状況との差を明らかにする、そしてこの違いこそがBPSDの原因であり、予防への第一歩になるのだ。

本書では、認知症ケアにおける行動分析の考え方をできるだけ専門用語を使わずにわかりやすく説明してくれている。そして、認知症ケアの現場で使いやすいよう、行動分析の具体的なテクニックやツールも紹介してくれている。そしてさらに、よく見かけるBPSD別にケアの方法を詳しく解説されている。

筆者は、本書が認知症の人を介護する家族や医療従事者の一助となることを願っている。

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