介護のコラムを読む

介護の本書評「review-kaigo」

戻る

第381回 目で見てわかる認知症ケア

豊富な事例で実践的ケアがよくわかる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

で見てわかる認知症ケア
ライフケアデザイン株式会社 (監修)

内容

介護付き有料老人ホームの運営を行う筆者が、長年の認知症ケアでたどり着いた3つの信念の紹介と解説を中心に、介護をはじめるかもしれない人、介護ケアにつまづいている人、介護への理解を深めたい人などに対し、「人生に寄り添うケア」の実践法を紹介している。

書評

筆者が認知症ケアで大切にしてきたのは「3つの信念」だ。

それは、1.認知症に関する「基礎知識」を身につける、2.認知症の方を「ひとりの人」として寄り添う、3.認知症の方の「これまでの人生」を知る、というもの。

1については、認知症にはどんな種類があり、具体的にどんな症状が出るのか、大まかなことを理解することがケアをする上で非常に重要だという。2については、筆者自身が一番当たり前に思うだろうが、実は一番難しいと語っている。なぜなら介護の仕事は常に時間との闘いであるにもかかわらず、認知症患者の対応には時間を要することが多いため。このギャップがイライラを生み、客観性を失い、自身の対応の悪さに気づけなくなることがあるという。

3こそが、本書が最も伝えたいテーマだという。認知症をひとくくりにしてはいけない、と筆者。たとえ認知症を患っていようとも、人生の先輩であり、一人ひとりに個性がある。混濁していてもそれまでの人生を知っていれば理解できることもあるし、知っているからこそできる対応もあるというのだ。

本書では、認知症ケアの実践例がわかりやすく紹介されている。本書を通じて認知症の方々のこれまでの人生を知り、「人生に寄り添うケア」の実践現場を垣間見てはいかがだろう。認知症ケアが少しでも楽しくなれば、と筆者は期待している。

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ