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介護の本書評「review-kaigo」

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第377回 いちばんわかりやすい介護術

役立つ介護技術やアイデアが満載

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

いちばんわかりやすい介護術
三好 春樹 (著)

内容

何でもやってあげるのが良い介護ではない。介護される側の人の能力を引き出し、寝たきりを防ぐこと。これこそが人生100年時代の新しい介護術という本書。「三好流・介護術」を紹介しつつ、介助術をイラストやわかりやすい文章で紹介している。安全かつ負担が少ない介護術を行うための動作がひと目でわかるように構成されている。また、家族の介護をしている人や介護職の人にも役立つ情報が満載となっている。

書評

手足に障害を持つ人や認知症のお年寄りの多くが、生活意欲を失っている。介護とは、そんな人たちにもう一度生きていこうという気持ちを取り戻してもらう方法の一つが介護であり、介護はとてもやりがいのある仕事だと語る筆者。

具体的な介護技術はやりながら考えていた、と筆者。そうすることで、人が動くという奥深さに引き込まれていったという。マニュアルは存在せず、それぞれの老化状況や障害の内容、さらにはその日の体調に合わせて工夫しながら介護していたという。介護技術も正解がひとつあるのではなく、その人に合った方法を考えて工夫して欲しいと語る。

人の動きは「筋収縮によるパワー」を必要とするが、人が動くときに大切なのは「脱力」すること。この一見矛盾した主張に納得できるのが介護の世界の面白さなのだという。本書では、寝返り、起き上がり、立ち上がりの自立法、解除法を具体的に図示している。ただ、決してマニュアルではないという。廊下も障害も一人ひとり状態が異なるのだから。もちろん筆者の長い経験と医学、人間学的に基づいた介護術が紹介されているが、介護の現場でアレンジしながら活用して欲しい、と筆者は語る。

「介護技術は二人で作りあげるアート」と語る筆者のためにも、新たなオリジナルの解除法を編み出して活用して欲しいと感じた。

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