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介護の本書評「review-kaigo」

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第355回 毒親介護

あなたは「嫌いな親」でも介護できますか?

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

毒親介護
石川 結貴(著)

内容

自分自身を傷つけたり、勝手な言動を繰り返したり、差別したり、過度に干渉してきた親が老いたとき、子どもであるあなたはどうすべきだろうか。どれほど卑劣な親であっても、子どもにとっては唯一無二の存在であることは間違いない。本書は、高齢の老親を介護する人の実態を紹介し、その先にある一筋の希望を探る。

書評

子どもである自分が年を取れば、それだけ親も年を重ねてゆく。誰もが頭の中では理解していることだが、現実にそうなると、いったい何が起こるのかまで想像できている人は珍しい。「長寿」や「敬老」といった具合に、若者が親の長生きを願うのは当然のことと思われている。実際に、老親を支える子どもは多く、そこには深い愛情が存在する。

だが世の中には、老いた親との関係に頭を悩ませる人も少なからず存在する。例えば「毒親」を持つ子どもたちだ。子どもに明らかな悪影響をおよぼし、その心身を蝕み壊そうとする存在だ。日常的に暴力を振るったり、必要な世話を怠ったり、支離滅裂な言動で周囲を振り回す親。

毒親を介護する子どもも、そして毒親自身も、辛い過去や心の傷を抱えている。それでも、各種制度やサービスを活用しながら介護に取り組むのか。本書では、その苦悩をどう整理し、過去や現在、今後の人生をどうすごしていくべきか、当事者の声や専門科の解説を紹介している。

親子関係と言っても、その人の想いはその人にしかわからないだろう。100人いれば100通りの形があり、当然ながら、誰もが納得できるような解決策を実行するのは困難を極めると言えるだろう。そんな難しい時代だからこそ、本書が何かしらの気づきをもたらし、より良い人生を獲得するための一助となることを筆者自身も願っている。

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