「親を捨てる」覚悟と準備の方法。
老いた親とは離れなさい
坂岡洋子
内容
「親を捨てる」ことが良いことではない。ただ、親から離れなければ親子が共倒れになってしまう。本書は、そうした状況下で親の介護を一人で抱え込んでいる人に伝えたいという筆者の想いが形になった一冊となっている。
書評
なかなか衝撃的なタイトルの本書だが、このタイトルには「一人で介護を抱え込んでしまって、親子共倒れになってしまう人を減らしたい」という筆者の想いが込められている。しかもそうした人に限って人の話に耳を貸そうとしないことが多い。ケアマネージャーがデイサービスやショートステイなどの提案を行っても、頑なに今のままでいいという答えしか返そうとしない人がいるのだそう。
だが、状況を客観的に把握し、最適な方法や手段を用いないなければ、介護する人もされる人も倒れてしまうのが介護の現実でもあるというのだ。年を取ることで親も変わる。しかも変わり果てた親を老親介護することで「介護離婚」や「介護離散」が生じることもある。何でもかんでも全力で飛び込めば良いわけではなく、状況判断と最適な方法の選択、これを行わなければ介護の成功率は下がり、介護される側もする側も幸せな気持ちから遠ざかっていくことになるのだ。
本書では、こうした状況を避けるためにも一度親から離れて第三者的な目で見ることを薦めており、その結果見えてきた状況に合わせて活用できるサービスや制度が紹介されている。
介護を挟んで向き合う親子が、どうすれば気持ちよく暮らしていけるのか、考えるきっかけとなる一冊かもしれない。