相続が「争い」を生むのはなぜか?
いま親が死んでも困らない相続の話 (ソフトバンク新書)
天野 隆
内容
「遺産相続」というと、なにかお金持ちの話で自分は関係ないと思う人もいるかもしれない。だが、相続額の多い少ないに関係なく、結果的に争いを生んでしまうケースが多い。本書では、多数の遺産相続を見てきた税理士がそうした事態を回避するための知恵をノウハウを解説する。
書評
「うちの親はまだ元気だから」「親の死を考えるなんて縁起でもない」と考える人もいるだろう。しかし、残念ながら人の氏を避けて通ることはできない。もし両親が死ねば、残された子どもたちは、悲しみに暮れる時間も無いほどやらなければならないことがたくさんあるのだ。
故人の知人への通知、通夜や葬儀の手配、死亡届や年金や健康保険の変更といった役所への手続きなど。しかも、それを行うには、死亡診断書や埋葬許可書、故人の除籍謄本、印鑑証明など膨大な資料が必要になるのだ。だが、そういった大変な現実を知るのは、大抵が親が亡くなったあと、自分で実際に体験する段階になってからだ。
だが、本当に大変なのがここから。そう、「遺産相続」という大難題が待ち受けているのだ。
相続は「親の財産を残された家族がもらう」という簡単なことではあるが、その考えがどれだけ甘いものか、当事者になると嫌というほど痛感するという。長年、相続を見てきた税理士である筆者によると、相続では揉めるケースが圧倒的に多いというのだ。
本書では、相続で困らないために必要な知識と、親が元気なうちに最低限やっておくべき準備について解説されている。本書を読んで爽快な遺産相続となるよう準備をしておくのもよいだろう。