「うつ」は治ります。信じること、努力することが大切。
「うつ」にならない老後の生き方―「高齢者うつ」の予防と治療ガイド
渡辺 昌祐
内容
高齢化社会が進む現代社会において、65歳の高齢者には、さらに20年近い人生が残されている。70歳になっても10年以上の人生が残されている。楽しくて豊かな年月になるはずのこうした時間を「うつ病」は悪夢の日々に変えてしまうかもしれない。
書評
高齢者のうつ病は、脳の働きを阻害する病気なので、決して放置していけないという。もちろん「老人には良くあること」といった具合に諦めてしまうのもいけないという。うつ病はごくありふれた病気のひとつであり、心身の様々な症状を「高齢だからしょうがない」と諦めてしまうことも良くない。なぜならこうした対応を取ることで、うつそのものに対する本人の訴えが表面に出てこなくなり、見逃してしまうからだ。
高齢者は、脳をはじめとする身体の生理的変化や不調だけでなく、数々の喪失体験や社会的孤立、死が迫ってくるという強大な不安感など、多くのマイナス要因が複雑に絡み合う。そのため、高齢者はうつ病にかかりやすいという。
もちろん、高齢者であってもうつ病を予防し充実した人生をすごくことが可能だ。だが、高齢者のうつ病の診断は非常に難しく、広範囲かつ綿密な診断が必要なため、うつ病と診断されずに治療を受けていない患者が増えているそうだ。高齢者のうつ病は、個々のケースで異なった経過をとることが多いという。加齢を抑えることはできないが、うつはきちんと診断して適切な治療をすれば、生命を脅かすことはない。だから、きちんと診断して治療することが大切なのだ。