介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第268回 認知症の人の寿命や健康との関わり(2007年9月19日)

以前に認知症と寿命について書いたことがありましたが、再度書いてみます。
当然のことですが、認知症で亡くなることはありません。
認知症の人は何らかの病気になって亡くなるのです。
認知症の進み方や病気のなり方、進み方は千差万別です。
前にも書きましたが、私の父タクさんの場合は認知症末期と言える時期になってから、それまで元気だった体ですが、歯が悪かったこと、脱水症状などが重なり、だんだん食べられなくなり、体力的に弱ってきて、誤嚥性肺炎を招き、父の寿命が尽きたのでした。

今、私は介護職になって、以前よりは様々の認知症の方の事例をみています。
亡くなった父は認知症末期といえる時期でしたが、もっと認知症が進行していても、それなりにお元気な方がたくさんおられます。

◆亡くなる頃の父よりももっと認知症が進行していると思われる方で、言葉に乏しく、認知力がかなり衰えていて、大腿骨骨折が原因で歩行ができず(女性に特に多い)、ご自分で食事もできず食べさせてもらっている人。でも、食べさせてもらえばとてもよく食べる方。

◆認知力がほとんど衰え、食べることも出来ず、寝たきりで、胃ろうによって体を維持しているだけなのに、その状態で何年もお元気な方。

他にも様々なケースの認知症の方々がおられますが、どの事例にも共通して言えることがあります。
◆「食べることができる人」は体の状態を保つことができるので、その状態はたとえ良くなくても、かなりの期間(何年でも)を維持することができる。

◆肺炎などで入退院を繰り返しても、女性は男性より一般的に丈夫ですぐには寿命が来ないが、骨折などには男性より弱い。

以上のことなどから、認知症が進むに従って、健康上注意しなくてはならないこととは…。
◆認知症が進むと、病気や怪我に関する認識力が衰え、自ら治そうと努力することができなくなるので、病気や怪我の進行を招きやすい。

認知症でない人よりも、ちょっとした病気や怪我にも要注意です。
◆認知症が進むと脳からの指令が正しく伝わらなくなるので、嚥下障害などが起きやすくなり、誤嚥を招きやすく(飲み込みが悪くなる)誤嚥性肺炎を起こしやすい。

まだ他にも注意事項はあるかもしれません。
認知症の方が増え、以前より認知症のことが世間でも認識されてきた昨今です。
そして、一般的に認知症の問題行動の対応策などに介護者の関心が向きやすく、それが介護者の一番の悩みだったりします。
けれど、認知症が進むと、介護者の関心事は変わってきます。
認知症の進行に伴った健康上での介護者の対応の仕方。
健康に注意することが、寿命を維持するために、そして介護者が少しでも楽をするためにも、非常に大切なことだと思います。
私自身、認知症の父を末期まで看るに従って、認知症の人の健康、健康管理などについて、知っているようで知らない部分が多いことを思い知らされました。
私だけでなく、これらについての認識が世間ではまだまだ薄いと感じています。
認知症の人の寿命や健康との関わり。
認知症の問題行動についての対応策だけでなく、これらももっと知らされても良いかと思います。

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