介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第261回 父のことを覚えていたショートの利用者さん その2 (2007年7月24日)

以前、父タクさんのことを覚えていたショートご利用のNさんの話しを書きました。
今回は父とデイの送迎車が隣席だったMさん(女性80歳代後半くらい)のお話。
Mさんは少し腰は曲がっておられますが、お元気でクリアな方です。
毎月ショートを定期的にご利用されておられて、今回私がショートの担当になって初めてお顔を合わせました。
デイにはまだ通っておられるのかと声をおかけして、父がデイの車でご一緒だったことをお話するとビックリなさいました。

Mさんはもう7年もデイに通っておられるそうです。
父がデイの利用を止めグループホームから特養に入ったのが3年前。
Mさんとは3年余りお会いしていませんでした。
Mさんは私が声をお掛けするまで誰だか気づかなかったそうですが、父の名前を言うと3年も経っているのにハッと思い出され、みるみる笑顔になりました。
父のことを「あんなにお元気だった○○さん(父の苗字)がお亡くなりになったなんて…」と。
デイに通っていた頃の父は本当に元気でした。
欠席したのは転んで膝にひびが入った時の一日だけ。
「○○さんは軍歌がお好きで上手でしたね」
「『同期の桜』をよく歌っておられましたね」
父のそんなことまで覚えておられたなんて感激でした。
父はデイの送迎車の中でも歌っていたそうですから。

Mさんはクリアな方ですから、デイでの多くの時間は父とは別のはず(父は認知症専門のデイルーム)ですが、3年以上も前の父のことをよく覚えていてくださいました。
「いつもお父さんの送り迎えをしてらっしゃって、本当によくお世話していらっしゃいましたね」
「○○さんがお守りを忘れてしまい、届けに来られたことがありましたね。
私はそれを忘れてはいませんよ。私もそれから息子にもらったお守りをいつも持っているのですから…」と。
父のお守りって、徘徊探知機を入れた袋のことです。
私は忘れていましたが、1度だけ届けたことがあったかもしれません。
父は亡くなってしまいましたが、今度は父以外の方々を父と同じようにお世話したいのでこの仕事に就いたと話すと、Mさんは益々感激されて私の手を握ってくださいました。
「お父さん、きっと娘さんのことを今も見てくださってますよ!!」
「お父さんと同じように他の人を看たいなんて、本当に感激しますよ。なかなかできることじゃありませんよ」と。
Mさんは潤んだ目でしばらくお話をされ、私も少しウルウルしてしまいました。

「気持ちばかりが先立って、技術が伴っておりませんが…」と私。
Mさんはショートの滞在期間中、その後も毎日のように他のご利用者さんと「よく働くね~ずっと動いているよ。若くなきゃ勤まらないよ」などと私を見ながらお話されていました。
う~む、確かに若くなきゃ勤まらないです、この仕事(汗)
しかし、私は若くないんですよね~(笑)
私は多分、この特養の介護職で年長者のトップ争いの50うん歳。
でもでも、新米なんです(苦笑)。
Mさんが父のことを覚えていてくださって、そして、感激して私にエールを送ってくださって…私も感激しました。
父が通っていたデイ、ショート、特養、ここに勤務しているからこその出会いでした。
Mさんもいつまでもお元気で、また次回のショートでお会いしましょう。

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