介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第254回 地震、雷、火事、親父(2007年7月5日)

父タクさんは認知症後期、わかってくれないことが何かと増えました。
たとえば、地震。
2004年10月23日の新潟県中越地震の時、東京でもかなり揺れ、確か震度4か5でした。
この時、父は特養に入所していて、毎月1回特養で夕方から開催される「居酒屋」に父と一緒にいました。
まだ普通食が食べられた頃で、毎月父とこの居酒屋で、お酒は飲まないけれど、色々注文して楽しく食べました。
その時、この地震が起きて、店内は一時騒然としました。
しかし、父は揺れに全く気付かず、悠々としていました。
「今、大きな地震があったのよ」と言っても、「そうかぁ??」と。
地震も感じなくなっちゃうのかな~??うん、感じてなかったです。
この時を最後に父とは特養の居酒屋に行かなくなってしまいました。
翌月に父は脱水を起こし、状態が何かと良くなくなって、普通食をさっさと食べることができなくなり、居酒屋へ行くことを断念したのです。

たとえば、雷。
これは在宅時代(認知症中期)でも、全く気にならなかった様子でした。
「凄い雷が鳴ってるよ!」と言っても、雷が聞こえていないわけでもないのに、気にならないようでした。
家の中にいたせいもあったかもしれません。
すぐそばで、はっきり目に見えることでないと、音が大きくてもわからないのでしょう。

たとえば、。火事
認知症初期から中期、何かと父は自分の状態にイライラするようで、何かあると「火つけてやる!!」と、さながら放火魔でした。
同義語として「首くくって死にたい」とも言っていました。
認知症になって変になった自分の状態がとても嫌だったようでした。

たとえば、親父。
親父については、父は母親のこと以上に、40代で亡くなった父親のことをよく話しました。
とても尊敬していた自慢の父親だったようでした。
「親父さん、優しかった?」と聞くと、「優しかったよ~」と、認知症中期の後半でも、嬉しそうに語りました。

たとえば、アコーディオン。
雷や地震のようにすぐ目の前のことでないものについては無反応、無関心でしたが、先に書いた特養の居酒屋にボランティアのアコーディオン奏者が来て鳴らしていた時は、「うるさい!!」の連発で困りました。
そばで鳴る大きな音は、たとえ音楽であってもピアノのような音でない限り、うるさく感じていたようでした。

たとえば、花火大会。
特養の父の部屋からは、比較的近くにある昭和記念公園の7月末の花火大会がとてもよく見えました。
目の前に大きく見えて私は感動するほどでしたが、父はあんなに花火がよく見えるのに、何度教えても「何?花火??どれだ??」と、全然わかってくれません。
たまに父が気が付いたときには、一瞬で花火は消えてしまうし、ダメですね~認知症後期ともなると、わかっちゃくれません。
このようなことがまだわかるうちは良いですよ~。
わかるうちに色々楽しんでおきましょう。
父のように地震に動じないのは、かえってありがたいことですが…(笑)

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