介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第253回 延命治療どうする?(2007年6月29日)

私が勤務するユニットで、今朝体調が急変して救急車で入院されたAさん(70歳代後半女性)のことを書きます。

いつもお世話させて頂いていたAさんの突然の出来事に、私にとっても、かなりショックでした。
今日はショートステイのユニットではなく、入所者のユニットにいました。
今朝、Aさんはいつもと変わらず起床され(私が起床介助した)、朝食のテーブルに着いていました。
認知症で大腿骨骨折の過去があるため歩けず、起きている時は車椅子。
笑顔をよく見せてくださいますが、言葉は「痛いっ」「どっこいしょ」のような単語を時々発語されるだけで意志疎通は難しく、食事は全介助。
さてこれから私の介助で召し上がろうという時、突然ギャーッというAさんの悲鳴!!
こんな大きい声を出されたことはありません。
少し離れた場所にいた私が駆け寄ると、車椅子に座ったAさんが、顔を真っ赤にしてガタガタと上半身を痙攣させていました。
何度か名前を呼びかけましたがダメ。
大急ぎで隣のユニットにいる主任を呼び、勤務時間前でしたが幸い看護士も出勤していて、皆でAさんをすぐにベッドに運び込み、バイタルチェック。

目は逝ってしまい、顔は青白く変化し、呼びかけに反応はないが、バイタルはまずまずの状態。
昨日も今朝も、Aさんは特に変わったことはなかったのです。
てんかん等の既往症もないようです。
その後はバタバタ騒然となり、まもなく救急車到着。
訪れた救急隊員がどの病院に行くか?を聞いてきました。
それによって延命措置についても異なってくること。
ご家族(娘さん)とそれについて看護士が電話でやり取り。
救急隊員曰く。
今の状態から、この特養に近い、高度医療を施せるA病院に向かうつもりだが、良いか?
A病院に入ると、人口呼吸器等をつける場合があるが、これは一度つけてしまうと外すことはできないこと。
高度医療を望まない場合は別の病院になるが、別の病院を探すには時間がかかるかもしれないこと。
たまたま数日前にAさんのカンファレンスがあり、娘さんはもしもの場合は延命治療はしないとのことでした。
しかし、今朝の突然の緊急事態に娘さんはショックを受けられ、救急隊員からの延命についての問いに、判断に苦慮したご様子でした。

娘さんは看護士と電話で相談の上、A病院で良いと答えられました。
今の状態だと、問題の人口呼吸器をつける可能性は低いと考え、延命治療を施さずに済む可能性があることの結論のようでした。
Aさんは特養の職員の付き添いでA病院のICUに運ばれ、その後の経過は安定している模様です。
今日のフロア職員連絡会でも、今回の緊急事態と延命治療について話し合いがもたれました。
日頃から、緊急時の延命治療について、ご家族と深く突っ込んだご意向を取り交わすことなど、色々話し合いました。
義父イズさんが老健入所の際には、延命治療をどうするか?
入所申し込み時に承諾書を書く老健もありました。
昨年、父の先行きが芳しくなかった時、延命治療についてブログに書きました。
父の延命についてはかなり迷い、結論がはっきり出せないうちに父は亡くなりました。
体調が急変して緊急入院となり、数時間のうちに亡くなってしまったからです。
父の場合は夜間救急車で特養から運ばれたのですが、その時の病院当直医の判断で、高齢のため酸素マスクはつけても人口呼吸器はつけないと伝えられました。
私もそれで良いと思いました。
延命治療云々を行う間もなく、亡くなってしまいました。

Aさんの今後はどうなるのでしょう。
カンファレンスで延命治療はしないとおっしゃった、母親思いのよく面会に来られる娘さん。
この時点では、Aさんの今日の状態は考えられないことでした。
でも、状態が急変し、土壇場で延命治療をどうするか迷った娘さん。
延命治療を始めてしまうと、長期化しても途中で止めることができなくなります。
私がいる特養にも、そのような方が入所されています。
日頃から、急な状態の変化についての考えをまとめておく必要性があります。
それには、延命治療とは何か?詳しく知っておく必要もあります。
今回のAさんのように、突然そういうことが起きる場合があるのです。
たまたま、私の父のように、あれよあれよという間に亡くなってしまう場合もありますが…。

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