介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第247回 父の足元エピソード(2007年6月13日)

そういえば、父タクさん、こんなこともありました。
特養に入所してから、面会に来た私のスリッパを見ていつも言ってました。
「いい靴履いてるな~」と、そりゃもう毎回言いました。
ホームの名前が金文字で入った茶色のどこにでもあるスリッパです。
金文字は父の目には見えないと思うので、ただのどこにでもある茶色のスリッパなのに、そんなに素敵だったのでしょうか??
「お父さんのも素敵よ!!」
「そうかぁ??」
自分の靴は全然素敵に思っていない様子の父。
ちょっとガッカリ。
私が買った父の足にピッタリ来る某全国ネットブランドのルームシューズ。
ある時期から、父の目線はいつも下の方。
真っ先に靴とかスリッパが目に入るようです。
それから、床も目に入る。
床が綺麗に掃除されていてピカピカ光っていたりすると、「ここ歩いても大丈夫か??水がある!!」
光り過ぎていると、水が打たれているように見えるようです。
何しろ、目線はいつも下。

何で目線が下なのか?
年取って背中が曲がってきたので必然的に目線が下になる。
歩くために用心深くなって、転ばないように、身の危険をいち早く回避するためにも、目線が下になる。
などと私は解釈しています。
床に境目があると、父は一層用心深く一歩を踏み出しました。
境目を踏まないように、どっこいしょ!と跨ぎました。
それでも、そこそこ転倒しました。
懐かしい父の転倒の数々。
デイの帰り、私がいるそばで、自宅マンションの上り階段のあと一歩のところで転倒し、膝にひびが入りましたが40日間で完治。
特養で職員しか通らない階段に入り込み、転倒して数段落ちたものの、擦り傷程度で済んだことも。
特養に入ってから、ベッドから転倒が何回か。
自宅のベッドでの転倒はなかったのに、施設に入るとある程度の転倒はあるのですよね。
1対1ではないから、職員の目に入らない場面もあるので。
でも、お陰様で頭にコブとか、膝を打撲程度のごくごく軽症で済みました。

でも、ベッドからの転倒の最終回(苦笑)では、背骨の一部が潰れ、父は相当痛い思いをしました。
しかし、1回整形外科に行っただけで、コルセットと貼り薬の自然治癒で、40日間で治りました。
でも、それからは起こしてあげないと、寝起きが自力でできなくなりました。
父には目線を下にする神様でもついていたのでしょうか?(笑)
神様のお陰か?お年寄りによくある、大腿骨骨折などの大きな怪我はありませんでした。

在宅時代はステッキを使って歩ていた父でした。
でも、ステッキなんか使わなくても全然大丈夫でした。
転ばないためにチョンチョンと地面に触れる程度に使っていました。
また、部屋のカーテンを閉める時に重宝していたステッキでした。
要介護度をアップさせるためにも、ステッキの存在は助かりました。
結局、最初から最後まで要介護4のままでしたが…。
特養に入ってから、父はステッキなんか使いませんでした。
なくても歩けたし、使ってもどこかに置き忘れてしまうからでした。
ステッキは部屋の片隅に仕舞い、たまの外出時に使う程度になりました。
認知症が進み過ぎて、ステッキを使うことも忘れてしまったのでした。

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