介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第243回 グループホームBでの父の生活(2007年5月24日)

父タクさんは特養に入る直前の2004年1/10~3/19までの約2カ月間、グループホームBで生活しました。
この時期に私はヘルパー2級の講習に通いだしたので、父のもとへはアルバイトをしながら週2回位の割合で通っていました。
同じ時期、イズさんの入院などもあって慌しい日々でした。

最初のグループホームAの時は、行くたびに父と近くのショッピングセンターまで散歩しましたが、グループホームBではリビングで父と話しをする程度でした。
このホームではほぼ毎日、食材の買物を兼ねて片道20分程の道を皆で歩いていくことが日常となっていたので、あえて父と散歩に出ることはしませんでした。
父は同じフロアにあるデイサービスに参加したり、広く明るいリビングでゆったりと生活していました。
私が行くと、父はいつも穏やかな表情でリビングの椅子に座っていました。

一般職員とは別に、少し年配の「おばちゃん」という感じの家事専業職の方がいて、一緒に手伝える入居者の女性(ほとんど認知症に見えない)が1~2名いらっしゃいました。
こんなに何ともないように見える方でも、高い費用を出してグループホームに入っているのだな~と思いました。
父はもちろん家事など何もできないので、皆の様子を眺めているだけ。
他の入居者も父と同様な方がほとんどで、椅子に座って独り言を言ったり、それぞれ気ままに過ごしていました。
「あの人の声は変な声でうるさいな~」などと、父は家事専業職の方のことを言っていました。
ちょっと大きな声の元気な方だったので、静かな環境が好きな父にはうるさい声に思えたのでしょう。
でも、まだこの頃の父はそうした周囲のことに、まだ目をやることができました。

日々の様子のスナップ写真がいつも廊下にたくさん飾られていました。
梅を見に、お弁当を持って近くの農家の梅園に出かけた写真などでは、父が意外にも車椅子に乗った方を押して歩いている写真がありました。
重箱のお弁当を手に持って食べながら歓談している写真など、私が知らない日頃の父を見る事ができました。
中にはVサインをしてニッコリした父の写真も。
Vサインを教えてもらったのでしょう。家ではしたことがありませんでした。
私がホームへ行くと、入居者の女性が、「お父さん、娘さんが来ると(表情が)違うね~♪しまいっこなの?」と。
「いえいえ、長女なんです」
「お父さん、とっても可愛がっているみたいね♪」と。
そう見えるのかな~?ちょっと嬉しいかも?(笑)
昔は私のことを厳しく叱ったりしていた父でしたが…。
私が父の肩を叩きながら、「チャンチャカチャン♪チャンチャカチャン♪チャンチャカチャのスッチョンチョン♪」と、三・三・七拍子のいつものリズムを口ずさむと、父はそれに合わせて肩を上げ下げしておどけた顔をしました。
家にいた時にいつもやっていた楽しいお遊びです。
私と一緒でないと、父はこんなことはしないので、入居者の方々はそれを見てビックリ、そしてちょっとウケていました。
多分、大多数の女性入居者の中で、父は黙っていると怖そうに見えて近寄りがたい存在だったと思います。
男性入居者はどの施設に行っても少数です。
父自身は女性入居者に対して区別していなかったと思いますが、女性入居者から見ると父は男性なので馴染みにくい存在です。
この「チャンチャカチャン♪」で、少しは父のことを怖い人でないとわかってもらえたら良いな~と思いました。

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