介護日記・二人の父の雑記帳 第151回〜

【第197回】長女の立場・追記 【戦前の家族制度の影響】 (2007年2月24日)

前回書いたことの追記です。追記にしては長いです(笑)
私の場合、認知症の父を介護するということは、
「本人ができないことを代わりに行なう」ということも含まれました。
まだ生きていて体は元気で動けても、できないことがたくさんあります。
たとえば、冠婚葬祭についても、列席できないことがあります。
その場合、父の代わりに列席する。
父の名前で持っていく香典の額を決めなければなりません。
父には判断能力がなく、相談できません。
父の立場だったら、父だったらこうするであろうと私が判断して行わなければなりません。
この例のように、本来なら父がすることですが、生きていてもできないので、父の立場を踏まえ、父だったらこういう判断をを示すであろうと、父に関する全てのことに父の代わりとして行ってきました。
父の代わりとして行うことは、冠婚葬祭だけでなく色々ありました。

母は生きていた頃、「お父さんが先にもし亡くなったら、何もわからないから困る」と言っていました。
その母は先に亡くなり、父は父自身が解決できなかった難問を残したまま、認知症になってしまいました。
父自身としては解決がついているつもりだったようですが、子供の代である私達には難問としか言いようがないものでした。
父が認知症になる前に色々と聞いておいたことがありました。
でも、それらはほんの一握りのことで、父が関わっていたことについて、知らないこと、わからないことが多くありました。
それらを父の代わりとして、また、長男の代わりとして行っていくことは当初、正直に言って大変でした。
認知症初期の頃、私は父に少しでも多くのことを聞いておこうと、色々たずねました。
初期には父も比較的記憶もあり、判断もできたので、その段階で少しは色々知ることができました。
しかし、認知症も中期になると、記憶や判断が確かなものでなくなりました。
目の前の父の介護に明け暮れていたため、それら難問をゆっくり考えている暇もありません。
父が特養に入ったら、父が残した難問について考えて行こうと思い、事実そのようにしてきました。
合間をみて、認知症になる前の父の意向に出来るだけ沿うような形で、私が思うところの難問の解決に携わりました。

しかし、全部のことが解決しないうちに、父は亡くなってしまいました。
父が認知症になる以前に聞いていたこと、認知症になってから聞いたことなどが多少でもあったため、役に立ちました。
それ以上に、認知症などとは全く無関係だった若かった頃の父の言動を、無意識にも私が感じて覚えていたことが、後になって最も役立ちました。
私の実家は本家と言っても、長男が継がなくてはならない家業がある訳ではないし、立派な本家の家が残っている訳でも、莫大な財産がある訳でもありません。
父自身も、父の父親も本家の総領(長男)なのに、早くから実家を出て生活していました。
そんな父が戦前の家族制度を根底にした考えを持っていたのは…。
父が言う本家とは、形ある本家ではなく、先祖代々を引き継ぐ「気持ちの上での本家」だったのだと気付きました。
今自分があるのは、ご先祖様のお陰だという、「先祖を敬う(うやまう)心」と言えるのかもしれません。
子供には皆、その思いを持って欲しかったけれど、代表である総領(長男)には、に代表としての心(自覚)を求めていたのだと思われます。
本来なら父は全てのことを総領である長男に託したかったのでしょう。
でも、できる人間がするしかないので、嫁に行った長女の私が行なってきましたし、今後もそうなります。
私は、私の後に残るかもしれない家族のことを考えて(順番通りにはならないかもしれませんが)、予測できる範囲でことを執り行っていくつもりです。
父が生きていても認知症でできなくなってしまった全てのことを、父の思いに沿って行うこと。
愛情を注ぐ介護そのものだけでなく、長男、長女の立場云々だけではなく、家族とは、こういうことにも責任を持たなければならないのだと、父を永年介護して感じてきたことであります。
父の場合は私が代わって責任を持って行なってきたので、成年後見制度を利用することはありませんでした。

親の意向が全てではなく、間違っていることもあります。
それらをひっくるめて、後のことも考え、良い方向に親の代わりとして行動していくこと。
記憶や判断が衰えていく認知症介護にあたって、それらを踏まえることも大事なことだと思います。
私はそれらをプレッシャーとは思っていません。
これらのことをバネにして、飛び越えて成長して行きたいと思っています。
それは、父を永年介護したことにより、自然と自覚してきたことです。
私の場合、父親の介護という立場だったこと。
長女であり総領代行という立場だったことなど、介護の状況や立場は人により様々だと思います。
これが親でなく、配偶者や兄弟などであっても、多かれ少なかれ、このようなことを考えなければならないのではないかな?と思い、今回の記事を書いてみたのです。
そして、長男長女の立場を超えて言えることの結論とは…。
認知症介護とは、心身の介護だけではありません。
本人の記憶や判断能力がなくなるので、あらゆることを本人に代わって行うことでもあります。
そのためには、本人の認知症以前の過去からの言動、気持ちを理解して行うこと。
できるだけ、聞いておけるうちに、色々なことをたずねておくこと。
これらも認知症介護において重要なことだと思いました。
これから介護しなければならない立場の方がこれを読んだら、うんざりするかもしれません。
最初から誰もができるわけではありません。
私だって最初はこんなこと考えてもいませんでしたし、できませんでした。
「本気で介護することで成長した」のだと思いました。

追記なのに、量が多く、回りくどく、わかりにくいかもしれませんが、私に表現能力がないためで、ご勘弁ください。

【第198回】次男の立場【戦前の家族制度の影響】 (2007年2月25日)については、こちらへ。

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