介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第190回 各種介護サービス利用のきっかけ・追記(認知症の父) (2007年2月16日)

◆父の介護保険申請が遅かった訳
父の介護保険申請が発症後8年経ってからと遅かったのは、介護保険が施行されたのが、父が発症して7年後の2000年だったからです。
早速申請しなかったのは、この頃の父は発症後7年経っていても、問題行動と世間で言われていることが特になく、介護に困ることがさほどなかったからでした。
他にも、以下の理由がありました。

■通い介護で父と私が住んでいる市が異なっていたので、私が父の市の行政に詳しくなかったこと。
■ある都合上、事実とは異なり父の住民票は私と同居の形を長い間取っていたことで、行政支援を受けにくい形でありました。
しかし、介護保険を申請するにあたり、父の住民票は父の実際住んでいる住所に移しました。
■通い介護なので、何かと面倒になることが増えるのは私が嫌だったからです。

何かと面倒というのは…。
たとえば、父をデイに出すについても、父は一人で行かれませんから、父がデイに行くよりも前に父の家に行って父の支度をしなければならない。
父がデイから帰る時は、父よりも早く父の家へ行って、デイの車から降りる父のお迎えをしなくてはならない。
ちなみに、父がデイに行っている間は、私はアルバイトに出ていました。
つまり、この頃の父は大きな問題がなく、何も利用しない方が私にとっては私のペースでできるので、ラクだったからです。
介護保険を申請するにあたって、私が介護を前向きにやっていこうと決心したのは、このような面倒なことを面倒に思わず、自分の生活だけでなく、通いながら父の生活全てに関わりを持ち、責任を持たなければならないことから、大きな決心をしなければならなかったのです。

◆父が通っていたデイサービス
特養併設のデイで認知症の方はクリアな方とは別室でしたので、通常の活動は別のようでした。
クリアな方は主に曜日によって、陶芸の日、書道の日、などのクラブ活動的なものを行っていました。
大きな施設併設のデイでは、このパターンが多いと思います。
音楽や体操、外出、行事は、クリアな方と一緒に行います。
恐らく、認知症でもクリアな方と共に行動しても問題がないような方は、できる範囲で行動できるようになっていたと思います。
父の場合、当初は書道などもクリアな方と一緒に参加してやっていたようですが、そのうち文字を書くことができなくなりました。
父はカルタの読み手が得意で頻繁にカルタをしていたのですが、認知症の方々とだけでやっていたのか、クリアな方と一緒かその辺は私も特に疑問を持たなかったのでわかりません。

◆もう一つのデイサービス
父はもう一つ別のデイに日曜だけ通っていました。
日曜もやっているデイは少なく、たまたまここも私の家のすぐそばでした。
ここは、ごくごく小規模のデイ(単独型)で、小規模なので一部屋に認知症の方もクリアな方も一緒でした。
介護度も重い方から軽い方まで様々でした。
このデイでは、散歩好きの父に合わせて、主に近所へ散歩に連れ出してもらいました。
小規模なので、部屋も広くなく、父にとっては歩き回ることができずに少し窮屈だったかもしれませんが、きめ細かく看ていただけたと思います。
しかし、父にとっては、いつも通っていたデイの方が色々な面で合っていたようでした。

◆ショートステイについて
特養や老健に併設しているショートについて書きます。
ほとんどのショートは施設併設型だと思います。
このタイプのショートは、ショート専用の部屋や居場所があるわけではなく、特養や老健入所者と一緒のフロアで、行う内容も一緒です。
まれに、大規模の特養で、ショート収容人数が多い施設では、ショートは別のフロアでショート専用のメニューがある施設もあります。
父はこのタイプのショートを一度だけ利用したことがあります。
いつものショートの予約が取れず、やむなく別の施設を利用しました。
いつもの慣れたショートではなかったので、かなり不安だったようです。

◆ショートの職員さん
ショートは別の職員さんが看るわけではなく、特養や老健の通常の職員さんがショートの人も看ます。
デイが同じ建物に併設されていても、デイの職員さんはショートには関わらないのです。
ですから、同じ施設のデイとショートでも職員が全く異なりますから、全く別の施設のショートを利用するのと同じことになります。
認知症のご本人が建物の区別がつく方は、同じ建物であることがわかり、別の施設よりは不安も少ないかもしれません。

◆施設見学
ショートステイを初めて利用する前に、施設を見学されると思います。
この時に、しっかり見学しておけば、のちに特養や老健入所になる場合の、施設選びの目が養われます。
ですから、特養・老健入所の場合の施設見学も兼ねた見学をすると良いと思います。
特養や老健はショートの利用で馴染んだ施設であることが望ましいと思います。
ですから、ショートを利用する時は、そのことを念頭に置いて施設を選ぶのが良いかと思います。
また、施設の見学は多く見れば見るだけ、比較ができて良いし、見る目が養われます。
認知症のご本人の状態が良いときに、見学しておくことが大事だと思います。
そのような時は介護者の気持ちにも余裕があるからです。
見学程度で全てがわかるわけではありませんが、しないよりは全然良いと思います。
介護者は施設入所の考えがなくても、先々ご本人の状態がどう変わるかわかりません。
介護者の気持ちや時間がある時に、冷静に見ておく必要があると思います。

◆施設の情報を得る方法
また、施設についての情報はケアマネさんもある程度持っていますが、施設見学や評価を仕事の核としているのではありませんから、実はケアマネさんも知らない部分が多いのです。
特養については、なかなか順番がまわってこない。
やっと番が回ってきて、一生居られる。(例外もある)
だから、仮に不満な点があっても、皆、あまり文句は言いません。
特養に入居になった時点で、それまでお世話になったケアマネさんとは通常関わりがなくなります。
ですから、入居後の不満点はケアマネの耳に入りにくい状況となります。
これは父担当のベテランケアマネさんもおっしゃっていました。
事実、数多く見学した私の方が、ケアマネさんより施設の情報をよく知っていました。
特養入居となると今までのケアマネさんは担当から外れるのですが、父のケアマネさんは、父が入居した特養法人のケアマネさんでしたので、頻繁に施設内でお会いすることができました。
特に生涯入居できる特養については、ご自身で確かめて判断することが望ましいです。
特養では地域の人に向けての講座や催しをよく行います。
特養で一般に発信して行われる催しに参加することで、その特養のことがよくわかります。
そのような情報発信をあまりしていない閉ざされた特養はどうかな?あまり良くないのでは?と思われます。
また、地域での評判も勿論大事です。
施設の情報について、これだけインターネットが普及しているのに、施設の本当に知りたい部分の情報はほとんどわかりません。
わかるのは、施設の規模や人員配置などの施設の基準となる事柄ばかり。
行事の写真が掲載されていれば良い方でしょう。
施設同士の内容比較や評判は未だにネットでもわかりません。
そのような評判を掲載するHPがありましたが、残念ながら内容のないものでした。

<注>
施設については主に特養について書きました。
老健は特養と違って期間限定で一時的に入所する施設という特性からです。 

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