介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第154回 一緒のお墓に入る人は?(2006年12月27日)

イズさんは自分が建てたお墓に皆で入るのが前々からの希望です。
すでにイズさんの妻、早死にした三男が入っているのですが、それとご自分だけでは物足りないようです。
皆が自分の後からちゃんと入ってくれるか心配でたまらず、時々念を押すように「誰でも入れるから入ってね」と言います。
皆で入ると言っても、子供達は独立して別所帯を持っているので、それらが全部一緒に入るのは他のお宅でもそうそうあることではないと思います。
イズさんのお墓には跡取りである長男一家が入り、その直系が代々入れば十分だと思うのです。
イズさんの長男(私の夫の兄)には男子がいるので、その後も代が続く可能性は十分あります。
なのに私達次男一家にも入って欲しいようです。
そんなにお墓に入る人まで大勢欲張らなくてもいいのに…。
「イズさんの後に誰も入らないってことは、まず有り得ないのだから、心配いりませんよ♪」と話すのですが、それだけでは不安のようです。
「お墓を買い求めるなんて大変なことだし、すでにあるのだから、長男一家はイズさんのお墓に入ると思いますよ~」と言っても「そうかな~??」と不安気です。

タクさんがいた特養でも、ある認知症の方は、「墓場」「死ぬ」などの言葉をよく使っておられました。
歳を取るとそれらが気がかりなんでしょうね。
ある程度の年齢になったら、自分の死や死に関することが気になることでしょう。
父を看て来た経験から、平均寿命にはまだ遠い私ですら、気になっていることです。
延命措置のこと、葬儀のこと、葬儀に使う写真のこと、お墓のこと、財産のことなど、気持ちがしっかりしているうちに家族に伝える、または遺言する必要があるな~と、大いに感じています。
亡くなったタクさんは今から30年弱前に先祖代々の墓を建て直したのですが、その時私に「お前もこの墓に入っていいんだぞ」とニヤッと笑って言っていました。
イズさんと同じように大勢に入って欲しいのでしょうね。
当時は私も若くてそのようなことにほとんど関心はありませんでしたが、今はそれなりにお墓のことなど色々考えています。
そして、ここ1~2年で私の考えもほぼまとまってきました。
イズさんは、そんな私の心を見透かしたかのように、「皆で一緒に仲良くお墓に入ろう」と言っています。
私には私なりの考えがあります。
私はもしかして、イズさんと同じお墓に入らないかもしれないけれど、イズさんが建てたお墓は当分代々続くと思うから、そんなに心配しなくてもいいのに…と心の中でつぶやきます。

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