介護日記・二人の父の雑記帳 第101回〜

【第150回】認知症を告知する?(2006年12月16日)

◆ガンの場合
かつてテレビなどで、ガン告知をするかしないかが話題になったことがありました。
もちろん正解のある問題などではないので、今でも迷っている方も多いかもしれません。
ガンは予防するにこしたことはないけれど、予防しても発症する可能性のある病気です。
そして、状態によっては治らないものもあるけれど、最近は、特に初期であれば、治せる可能性がある病気になってきました。
私の母は肝臓ガンで亡くなりました。
無言の臓器と言われるように、気がついた時は手遅れで、緊急入院してから3カ月で全身に転移して亡くなってしまいました。
お酒も飲まないし、肝臓に悪いことなど何もしていなかったのに。
母の親、そのまた親も皆長生きだったのに。
闘病中の母には、治る可能性がないガンであることを絶対に知られないようにと、父に強く言われました。
母に言わないでいること、母がそのような状態であることは、物凄く辛く苦しいことでした。
母には最期まで本当のことは告げず、陰で泣きながら、母には希望に繋がる話をしていました。
少し母のことが長くなってしまいました。
父は母のようにガンで死にたくないと、ガンに関する知識や対策は随分していたようにみえました。
世の中で最も怖い病気がガンだと父は思っていました。
しかし、認知症という厄介な病気があって、自分がそれに冒されることになるなんて、きっと思ってもみなかったことでしょう。
私はそんな母を見て、自分が治る可能性のない病気だとしても、宣告してもらって、命のある間は精一杯生きたいと思いました。
実際できるかどうかわかりませんが、そうありたいと思っていました。

◆認知症の場合の告知
では、認知症については告知できるか?
あるいは、自分が認知症になったら告知して欲しいか?
認知症もガンと同じで、予防をするに越したことはないけれど、予防してもなる病気です。
ガンよりも軽くみられがちですが、ガンと違って早期に発見したからといって、治る病気ではないのです。
手術で治せるものではないし、薬で治せるものでもありません。
進行を遅らせる程度の薬しかなく、それも人によって効き目はまちまちで、治せる方法はありません。
何と憎らしい病気なんでしょう!!
多くは高齢になってから発症しますので、そのような高齢者に、治る可能性のない病気の告知なんて私はできません。
する必要もないと思います。
治せる可能性のある病気ならともかく、ガンより酷いことに、治せる病気ではないのですから。
若年性の方についても、私は同様な考えから、人にもよりますが、告知することは避けた方が良いという考えです。

◆父へは何にも触れず、告げず
そんな私ですから、父には認知症という病気であることに、触れたことすらありません。
「ボケてる」なんて言葉は、父に対しては一度も言いませんでした。
人には可愛い意味合いで「父がボケちゃって…」なんて言いましたが。
また、テレビをつけっぱなしにしていて、認知症の話題が出た時は、私はさりげなく番組を切り替えたり、その話題から遠ざけようとしました。
そのような病気があって、父がその病気になってしまったことを、私は父に気付かれないようにしていました。
父が闘病中の母にしていたように、私も父にそのようにしました。
父本人が「頭がバカになっちゃったよ」と、トボけた顔で言うので、私もトボけて対応しました。
父自身、「バカになった」とは言いましたが、「ボケた」とは自分では言いませんでした。
本人にとっては、「バカ」になったような感じであって、人が思うような「ボケ」とは別の感覚だったのかもしれません。
あるいは、父自身、ボケた感覚があったのかもしれませんが、自尊心から「ボケ」とは言わなかったのかもしれません。
わざわざ病名を告げなくても、前とは違う自分になってしまったことは、本人が一番気付いていることです。
それがどんな病気か分からずに不安でいるなら、病名を告げずとも、寄り添って不安を和らげてあげられれば良いのではないでしょうか?
本当のことを知って、介護者と共に病気を踏まえた上で精一杯歩むことができるのは、ごく少数の方だけではないでしょうか?
ですから、私は自分自身のガン告知は肯定派ですが、認知症に関してはちょっと違い、私がもしそうなったとしても、告げて欲しくないと思っています。

◆記憶のモザイクゲーム
父は自分が認知症だという病気であることは知らないまま亡くなりましたが、それで良かったと思います。
もし、父に本当のことを告げて欲しいと言われたとしたら、私は父に何と言ったでしょうか?
「記憶のモザイクゲーム」とでも言ったかもしれません。
記憶の組み立て方はお気に召すまま。
バラバラにするのもお気に召すまま。
色をを付けるのもご自由に。
ゆっくり時間をかけて、一緒にゲームを続けましょう。
最期はバラバラになったものが見つからなくなるかもしれません。
そしたら、また一緒に探しましょう。
ゲームのやり方は自由自在です。 

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