介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第131回 イズさんなりの引越し準備とは?(2006年11月26日)

今日(11/25)は老健のイズさんの所へ行って、明日は新居になる有料老人ホームの食事試食会に行ってくることを伝えました。
買い揃えた荷物が届く「プレ引越し日」だとは決して言いませんでした。
「ちょっと片付けや準備もしてきますね」と、軽く話して…買った物が届くことは知らせまいぞ!!くわばら、くわばら。

いつもイズさんに「寒くない?」とたずねると、今までは「寒くないよ」でした。
ところがさすがに「今朝は寒かったね~」と。
寝ている時寒くないかと聞くと、今日はかなり寒かったらしい。
タクさんがいた個室ユニットの特養は各個人部屋ごとにエアコンで調整できたけれど、イズさんの老健は四人部屋だし、温度は低めに設定しているようです。
布団1枚じゃ、さすがに寒かろうけれど、引越し間近だから、物は増やしたくないし…。
この頃寒いので、風邪を引いちゃ新居に移るのに大変だと、イズさんなりの引越し対策を取っているらしい。

その引越し対策とは??
「風呂に入らないこと」らしい。
どうりで、前回も前々回も、洗濯物が非常に少なかったのです。
何しろ肌着のパンツ(猿股)を、恐らくこの10日間位全く取り替えていないのです(^-^;;
洗濯物は引越しがあっても、構わず出していいと言っているのに遠慮しているのでしょう。
しかも、お風呂に入ると風邪を引くといけないからと、ここのところ入っていないらしい。
寝込んで引越しできなくなったら困ると思っているらしい話しぶり。
来週の火曜と金曜のお風呂も入らないかもしれないと言う。
ふと見ると、隣に座っていたのは先日「お父さんとはぐれちゃった…」
と泣き出した軽い認知症のあの女性でした。
「いいわねぇ。親子でそうやって話し合えるのって…」と、今日は先日とは別人のような穏やかな話し振りで私達に口をはさみました。
それでもまだ、お風呂と洗濯物の話は続きました。
「でもね、お風呂は昼間入るんだし、大丈夫じゃない??お風呂から出たあと寒いの??」
その答えは、何やらぶつぶつ言ってよく分かりません。
そのうち「寒くて寝てられない」と本音が出てきました。
「うちから持ってこようか?」と言うと、「いいからいいから」と、遠慮します。
老健のそばにホームセンターがあるので、そこに丁度良い寝具があったら買ってこようと思い立ちました。

イズさんに別れを告げたあと、ホームセンターに行ってみたら、良いものがありました。
先日新居用に買った寝具にはなかった物。
肌掛け布団タイプの「フェザーケット」なる、薄くて軽く暖かい羽毛布団(安い物)があったので買いました。
これなら、引越す時も荷物にならないし。
早速、老健のイズさんのところへ持って行きました。
「買った」と言うと、「無駄遣いをして」と言われるし、「安かったから」と言うと、「安物はやっぱりダメだ」とか言われるので、「家から持ってきた」と言いました。
すでに「持ってきた」と言っているのに、「まだなくても我慢できる」とか、「厚着するから大丈夫」とか言ってベッドに寝転んでいます。
「今、この布団の下に入れるから、寒いけど、ちょっと立ってね。
これは薄手の布団だけど軽くて暖かいよ~」と言ってセッティング。
すると、今まで使っていた掛け布団は縦横逆に掛けていたのでした。
「これじゃ、丈が短くて足が出ちゃうから寒くもなるよ~♪」
「あら?お義父さん、背中も出てるよ~。これでは寒いよ~」と言って、腰まで下がったズボンを引っ張って、背中を隠してあげました。

「う~む、パジャマじゃないのに、これで寝る気だな?」と、心の中で言いました。
まったく~そばで面倒みてあげないと、全然ダメなんだから…。

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