介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第130回 私なりの認知症介護 その2(2006年11月25日)

【施設介護を考える】
施設に入らずに、在宅でできる限りのことが可能な環境であれば良いですが、そうでない場合もあります。
各種施設についてはいずれ書くつもりですが、今日は私の場合の施設介護体験談を。

◆施設に入ってからも介護する
私の場合は父が施設(2箇所のグループホームと特養)に入ってからも、できるだけ父に関わって、父の気持ちをわかってあげることをしました。
施設の職員さんは排泄や入浴の身体介護はしてくださっても、父の生い立ちや育った環境、過ごした生活全部をわかっている訳ではありません。
気持ちの奥深くまで入って支えるのは、家族の役割だと思いました。
施設に入ったからと言っても、まだ家族介護はやる気があればできるのです。
私は父の生活のほんの一部分でしたが、自分なりにできる範囲のことを施設でやりました。
また、父が居た特養の入居者家族の方でも、場所は施設になったけれど、関わり方は在宅時と同じ、もしくはそれ以上だと言う方もおられました。
在宅時は介護者の気持ちに余裕がなくできなかったことも、特養に入ってもらってからは、ご本人の具合が良くなったこともあり、介護者にも余裕が出て、
あちこち一緒に出かけたり在宅時にはできなかったことを色々しているとの話も聞いています。
施設というと、拒否反応を示す方が多いようですが、施設に入っても関わってあげることが大事だし、関わる必要が色々出てくるのです。

施設に入れた「罪悪感」とか、「周囲からとやかく言われる」とか…あるかもしれませんが、それなら施設に入ってからでも、できるだけのことをしていれば、言われる筋合いはないのではないでしょうか?
よくわかっていない人に限って、施設についての悪い面ばかりを言うのだと思います。

◆通いの在宅介護の限界
父も私もずっと元気で、父は毎日のデイを嫌がらず皆勤でした。
それは認知症が重くて、何が何だかわからなかったことや、元々外出好きだったこともあったと思います。
以前にも書きましたが、父をデイに送り出すため、朝、父の元へ駆けつけること。
夕方デイから帰る父を迎えに行くため、父の家へ駆けつけること。
そして、父の自宅での入浴や父がベッドに入るまで介護する毎日。
ショートの時も送迎時は施設まで一緒に行って、父の状態を伝える&受ける…それが私の役目でした。
私が元気でなければ成り立たない状況で、私に代わる人は弟だけ。
その弟は私に何かがあっても、私がしている役目は全部こなせない状況。
弟は仕事から帰ってきて夜から、仕事に出る早朝までの父の面倒を看ました。

特に早朝は大変でした。
眠っている父を起こし、失禁で毎日びしょ濡れの父を身支度させてから出勤する毎日。
仕事の疲れなどもあり、私より精神的に弱い弟は限界でした。
その後、父が朝起きられなくなり、弟が出勤したあとの早朝時、
毎日ヘルパーさんに起こしに来てもらい、デイに出るための着替えを依頼しました。
しかし、それでも父はなかなかすぐには起きられず、そのような時はヘルパーさんから連絡を受けると、大慌てで父の所へ私が駆けつけました。
所定の送迎車の時間に間に合わず、特別車に迎えに来てもらうことが増えました。
逆に、以前書きましたが、デイから帰りたくなくて、特別車で遅く帰宅することも増えました。
車があれば遅刻や遅い帰宅も出来ますが、我が家には車がないので送迎車のお世話にならなくてはなりません。
デイの、特に送迎車の時間に合わせることが父にとって無理になり、デイの職員さんに負担をかけることが増えました。

また、父にも時間的に無理なことを強いる形となりました。
たまたま父を一人にしていた時間に、水道漏れの事故や洗濯機の事故で、父のマンションの階下のお宅に水漏れで、大変な被害を与えてしまったことが2度も起きました。
父からますます目が離せなくなりました。
父がデイやショートに行ってもらわないと、私達の生活もあり、一日中父を看ている訳にはいきません。
とにかく父を一人にしないことで、週7日間、2箇所のデイサービスを利用して、毎日デイに行ってもらいました。
週7日間のデイ、ショートを月10日間位、早朝1時間のヘルパーを週5日。
「要介護4」の1カ月の単位数を超え、全額負担部分が増え(単位数内なら1割負担で済む)、毎月の支払額はグループホームの月額費用とほぼ同じ18万くらいになっていました。

父はどれも嫌がりませんでしたが、このような通い介護の在宅生活の限界は半年位続きました。
費用も介護もギリギリの状態だったため、申し込んであった特養の「入所判定会議で、父のことが毎回取り上げられていて、優先的に取り計らわれている」と、ケアマネさんから報告を受けるようになりました。
父のケアマネさんは入居申し込みをした特養法人のケアマネさんであり、特養法人のナンバー2の方でしたので、父の状況が判定会議に届きやすい状況でした。
デイもショートも特養と同じ施設でした。

◆施設介護の必要性
認知症の人の状態や生活環境にも寄りますが、無理をして在宅介護を続けるのが良いとは限りません。
私も初めははずっと在宅介護のつもりでいましたが、先に書いたような父の状態と家族(特に父と同居の弟)のことを考え、そうは言っていられなくなりました。
申し込んであったグループホームや特養から、いつ入居の知らせが来るか、先に書いた時期は待ち遠しい時期でもありました。
特養の申し込みは、ケアマネさんに勧められて、デイに通い出した当初に申し込みしました。
その気がない早い時期に、申し込んでおいて良かったと思いました。
ショートはケアマネさんの勧めで、定期的に毎月利用し、3カ月先を予約するパターンでした。

どんな施設も、思った時、すぐには入れないのです。
本人の具合が悪くなってからでは遅いのです。
老健で数カ月、特養なら何年も待つのです。
有料老人ホームだって、待たなければ入れません。
ショートの場合も先々予約は一杯なのです。
早め早めの対策が大事です。
本人の気持ちは置き去りになりますが、入所が決まった時にわかり易く話すしかないと思います。
ちなみに、滑り止めで4年位前に申し込んだある特養は、一度そこでショートを利用したこともありましたが、父が亡くなった今も順番が回って来ません。
800人位申し込み者がいると言っていました。

父の特養入居は、通常より早く2年待ち位で入居できました。
それは、父が特養とは別の市に住んでいたための特殊枠での優先的処置、家庭環境や父の状態の優先的な処置(上記のようなギリギリ状態が認められた)などがあったためです。
優先的になるものがなければ、こんなに早く入居はできませんでした。
施設の良し悪しは評判だけでなく、できるだけ多くの施設を見学して比較検討して申し込んでおく必要があります。
私もたくさん見て回りましたが、第一希望の父がいた特養は、最初に見学した施設でした。
施設は「施設介護の必要性がある順」とは言いますが、申し込みは早い方が有利です。
今は在宅介護で大丈夫でも、先々のことを考えて早めに申し込んでおく必要はあります。
順番が回ってきた時、必要がなければ、延期しても良いのですから。
実際、グループホームの入居では2度も、まだ早いと先送りにしてから入りました。
家庭介護と違って、施設介護もそれなりに問題点はありますが、施設に任せっきりにしなければ、問題点は家族の力である程度解消することもできると思いました。

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