介護日記・二人の父の雑記帳 第101回〜

【第128回】イズさんの老健での出来事(2006年11月23日)

昨日、イズさんが居る老健へ行き、夕食後のイズさんと食堂で話していました。
イズさんは転居のための準備はもうしていて、要らない物は捨てたとか、
袋に詰めたとか、皆に退去の挨拶も済ませたと話してくれました。
まだ転居まで10日位あるのですが、何とも気が早い。

その前に行った時も、ギターはいらないとか、歌本もいらないとか、
職員さんにあげるとか言っていました。
イズさんは自分で整理がつかないものは、
何でも捨てるか人にあげようとする傾向が前からあります。
最近よく聞く「捨てる技術」なるものを、ずっと以前から実行していた人なのであります。
しかし、歌本は私がやっと捜してイズさんのために買った選曲が良い本だったので、
「人にあげるなら私にちょうだい♪」と言って、何とか持っていてもらうようにしました。

イズさんと話していたら、入居者の女性が私に声をかけてきました。
「ねぇ、ちょっとあなた、聞いてもらえる??」と。
すぐに軽度の認知症の方だと分かったので、そばの椅子に「さあ、こちらにどうぞ!
お座りになって、ゆっくりお話してください」と座って頂く。
「お父さんが、いなくなってしまったの…。家もどこだかわからないし…」とおっしゃるなり、
泣き出してしまいました。
迷子の子供と同じような状態でした。
初対面なのに私は思わずその方の手をそっと包んで、話を聞いて差し上げました。
そして、よく使う手ですが、「今夜は夕食も済んだことですし、遅いので、
ここに泊まっていかれた方が良いですよ。家へ連絡はしておきましょう。
寝る部屋も準備してあるので大丈夫ですよ♪」と。
「あなたが、そうおっしゃるなら、そうしようかしら?大丈夫なのね?」と、
ひとまず落ち着きを取り戻した様子。
「どちらにお住まいなんですか?」
「それが、わからないのよ…」とおっしゃって、また泣きそうになる。
「○○○が主人の名前です。一緒に来たのですが…」と、本当に心細そう。
「私の母ぐらいのお歳でしょうか?」
「大正8年です」
「あら!それじゃ、とってもお若いですね♪」
「そうですか??」
「寒くないですか?」とたずねると、「これ着ているから寒くないですよ♪」
話し相手ができただけで、ずいぶん落ち着かれました。
「さっきまで、お父さんがいたんだけど、どこへ行っちゃったのかしら??
ちょっと私、探してきます」
しばらく話したあとは、また席を立って行ってしまわれました。

その後も、時々歩いている様子が見られました。
私とその女性が話し始めた時、イズさんが「この人さっきから、何か言ってくるので、
僕に聞いたってわからないよ!向こうにいる職員に聞いたら?って言ってるんだけど、
わかんない人なんだよ!」と、怒ったように口をはさみました。
そこで、「この方、少し認知症みたいなので、私に任せてね」とイズさんに言って、
女性と話し始めたのでした。
イズさんはその間、テーブルにほほ杖をついて、そっぽを向いてました。

ちょっとイズさんを不機嫌にさせちゃったかな??
どうやらこの女性は、ご夫婦で一緒にショートに来て、ご主人とは別々の部屋になり、
しかもはぐれてしまい、なぜ自分がショートに来ているのかがわかっておらず、家にも帰れず、
どうしたら良いかわからず、とても心細かったのでしょう。
私もついつい、認知症の方を見ると、知らん顔してはいられなくなってしまいます。
壁にあるホワイトボードのショートステイの人一覧に、ご主人のお名前が載っていました。
ご主人の名前は正しかったのです。
大正8年生まれというのが正しければ、お若く見える方でした。
職員さんは、夕食後の時間はその方とゆっくりお相手している暇はないので、
イズさんがそばにいなければ、もっとその方のお相手をしていたいところでした。
イズさんは、その女性が認知症だとわからず、わかったとしても、
それなりの優しい対応などできるわけもなく、ただ「困った人だなぁ」と思っていた様子でした。

ショートステイ一覧に載っていたこの女性のご主人のお名前は、何年か前に父がお世話になった、
地域の小さなデイサービスでの介護講座に参加されていた方の苗字と同じでした。
その方は確か、同居しているご主人のご両親の面倒を看ていると話していた記憶があります。
そのご両親なのでは??と、ふと思いました。

【第129回】私なりの認知症介護(2006年11月24日については、こちらへ。

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