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介護日記・二人の父の雑記帳

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第125回 タクさんの悪癖 (認知症中期のタクさん その23) (2006年11月20日)

父にはまだ書いていなかった悪癖がありました。
亡くなった父のことを夫と色々話すうち、夫が笑いながら言い出して、すっかり父のそれを忘れていた私は思い出したのです。
それは、言うもはばかる…??タクさんは「スケベじじい」だったのです(笑)

◆スケベじじい、タクさん
昔から父はシモネタで人を笑わそうとする人でした。
いえ、正確に言うとシモネタを女性に言ったり、しかけたりして、女性が恥ずかしがったり照れるのを楽しみとする「エロおやじ」でした(^-^;;
ただし、あっけらかんとやっていたので、「いやぁねぇ~」と相手に言われながらも、陰湿さはありませんでした。
でも、今なら「セクハラじじい」と言われて後ろ指さされたかもしれません。

父がそんな「スケベじじい」だったことを私が気付いたのは小学生の頃でした。
その頃、一番のターゲットは私でした。
細かい状況は忘れましたが、何かあると抱きついてきたので、小学生の私は嫌でたまらなく、でも、笑いながら逃げ回っていました。
父には厳しく叱られ、新聞紙を丸めてお尻を叩かれたこともありましたが、その反面、父の「おふざけ」の抱きつき攻撃にも遭っていたのでした。
あの調子だと、電車内などでの悪質な痴漢行為はやっていないと思いますが、職場の若い女性などには狙い撃ちをかけていたかもしれません。
家で一緒にTVを観ていると、音楽番組でダンサーが踊った合間にスカートからパンチラすると、「ほら!!見えたぞ!!」と大喜びしていました。
宝塚歌劇の劇場中継などでは、ラインダンスで並んだ太ももをみて、「お!!凄いぞ!!」と、これまた喜びに湧き立っていました。
母は一緒に笑ってみていましたが、私は「お父さんって、サイテー!!」と言っていましたっけ。

そんな父の悪癖は年をとっても治ることはなく、介護サービスを利用する頃になっても続いていました。
さすがに、抱きつきはなくなりましたし、言うこともあまり過激ではなくなりましたが、私に軽いお尻タッチなどしていました。
この頃は、私も心得たもので、昔のように本気で逃げ回ることもなく、「お父さんて、エッチだ~♪」くらいに言って、笑いながら父にやり返しなどすると父は喜び、私も適当に父とそんなやり取りを楽しむ余裕が出ました。
父の悪癖に拒絶反応を示すと父にとっては面白くなく、冗談で受けて返す、そこそこのやり取りができることを父は楽しみとしていたのでした。
こんな父でしたので、毎日父と接するデイの職員さん方に、父の悪癖には、「軽く受けて、冗談で返してやってください」と伝えました。
「父がご迷惑をかけているのでは??」とたずねると、「楽しくて良いですよ~♪」と、言ってくださってましたが…果たして??

時々、スケベじじいの対応に困る話をあちこちの場で聞いたことがあります。
父の悪癖でご苦労をおかけしていたら、申し訳ありませんm(__)m
そういえば、特養に入居した頃(今から2年半前頃)も、まだほんの少し「スケベじじい」の名残りがあったので、職員さんには「要注意」と「軽く受け返し」をお願いしたこともありました。
ここ1年程は、父も体力的にすっかり衰え、さすがにそんな様子もなくなってしまい、そんな父の悪癖のことを私はすっかり忘れていたのでした。

夫にとってタクさんとは、自分の父親よりも興味がある人物像だったようです。
「お前の親父は、ドケチで、スケベおやじで、計算高い人だったけど、面白い人物だったよな~♪」と、亡くなった今だからではなく、元気だった頃も言っていました。
「認知症になんかならなかったら、一緒にもっと楽しく過ごせたのにな~♪」と、以前からよく言ってくれました。
堅物な面が強い父でしたが、スケベじじいな面があっての父でした。
残念です。悪戯っぽい目で、お尻タッチや抱きつき攻撃する父がもういないなんて…。
しかし、こんなエロおやじはやっぱり現在では「セクハラもの」でしかないんでしょうね~??

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