介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第124回 父がいたユニットにて(2006年11月19日)

昨日(11/18)は父がいた特養でセミナーがあって、10日ぶりに特養に行ってきました。
このセミナーについてはのちに書くつもりですが、セミナー終了後、父がいたユニットに行きました。
父がいた頃、つい3週間前までは、一日置きに通っていたユニットなので、父と共に生活していた入居者の皆さんや職員さんとお会いするのは当たり前のことで、
私の生活の一部のようなものでした。

父がいなくなっても、皆さんどうされているのか気になってしまいます。
職員さん達が笑顔で迎えてくださいました。
父がいないユニット。
現実を目の前にすると、私にとってはポッカリ大きな穴が空いてしまったことを確認することとなってしまいました。
でも、入居者の皆さんはお変わりなく、いつものご様子でした。

父の隣の席でいつも食事をされていたMさん。
ソファに腰掛けてTVをご覧になっていたので、横に座って声を掛けました。
Mさんは、亡くなる頃の父とほぼ同じ位の介護が必要な身体状況の方です。
目がパッチリ大きくて、色白で、痩せてらして、穏やかで、男女の差はあるけれど、父と似たタイプの方でした。
父に話をしているような気がしました。
「そうなのよね~」
くらいしかはっきり分かる言葉はおっしゃらない方ですが、色々話しかけると私の顔を見て確かではない言葉を色々返してきてくださいます。
そして、とっても良い笑顔で言葉にならない言葉でお話されました。
よく、テーブルや片膝をトントン叩いていらっしゃるのですが、今日もそうでした。
それに合わせるように私が歌を歌いました。
父がいる時によく歌って、入居者の皆さんが声を合わせてくださった「東京音頭」。
Mさんは「よいよいよい~♪」の所は、はっきりわかる声で歌われました。
「とってもお上手ですね~♪」と言うと、ますますステキな笑顔に。
何度か一緒に歌って、ずっと良い笑顔でした。
今までは父を看ながらの合間にお相手をしていただけでしたので、こんなに笑顔の素晴らしいMさんと一緒に暫く過ごせたことはありませんでした。
私はMさんにとても癒されました。

いつも目の前の何かに「お父さん!!」と呼びかけているHさん。
Hさんの「お父さん!!」の声が厳しくなって怒り出しそうになったので、Hさんにも声を掛け、穏やかな話し振りになるまで一緒にいました。
Hさんを見ていると、夫や息子を思う母親らしさに溢れていて、私の母だったら良かったな~なんて思うことも今までありました。
女性3人がテーブルを囲んでボール遊びをされていました。
でも、何か一つ物足りない雰囲気でした。
その輪に加わって、一緒にテーブルの上でボールを転がして遊びました。
皆さんお上手で、やり取りするボールがテーブルの下になかなか落ちません。
私のような者でも加わることによって、表情が生き生きされてきたようでした。
私は「はい!どうぞ!」「なかなかお上手ですね~」「ずっと続いてますね~」などと声を掛けながら、一緒に体を動かしました。
他の入居者の皆さんは自室にいらっしゃったので、ちょっとお顔を拝見した程度でしたが、皆さんと少しの間、一緒に楽しい時間を過ごせました。

父はいないけれど、父と共にいらした方々と触れ合うことで、父との時間を彷彿させるような気がしました。
ボランティアのつもりでもなく、ちょっとお相手ができて、入居者皆さんの笑顔に触れられたら、私も心地よい…そんな思いでした。
何だか、中途半端な気持ちで、そんな気持ちで接して良いのかしら?と、自問自答してしまいましたが、楽しいひと時でした。

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