介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

戻る

第98回 呼び寄せ介護と通い介護 その2(2006年10月20日)

現在、老健にいる義父のイズさんも通い介護(介護とは言えないが)から始まって、私の自宅近くの老健に呼び寄せました。
イズさんの地元の老健に入所した場合、私の自宅から面会に通うのが不便になりますし、入院の場合も遠くて不便で迅速な対応ができません。
やはり、最も面倒を看る家族の近くに居なければ、何が起きてもすぐに対応できませんから、遠く離れた私の自宅近くの老健に入ってもらいました。
また、イズさんの自宅周辺よりも、私の自宅周辺の方が老健も特養も知っている所がたくさんあったからです。

【老健の義父、イズさんの場合】
今まで老健に居る義父イズさんの在宅の頃のこととか、老健に入る経緯などは書いたことがありませんでした。
実の父のことに比べると後回しにしがちです(^-^;;
実父タクさんに比べて状態がずっと軽いこと、実の親じゃないことなどで、力の入れ具合が申し訳ないけれど違ってきます。
◆持病の「大腸憩室炎」(※1)は手術で治せないので、今後も時々発症する可能性有り。
発症した場合は入院治療。
◆今までの「一過性脳梗塞」(※2)は、殆ど数時間で意識が回復、後遺症は殆ど見られない。
◆しかし、今後、本格的な脳梗塞を起こす可能性は大きい。
◆日常的に、歩行は足を引きずっているが自立。杖は使ったり使わなかったり。長距離は歩き難い。
◆ろれつが多少回り難い感じはある。
◆その他、殆どの生活全般が自立。認知症はない。2006年現在85歳。
◆本人の性格や自宅の住宅環境、ここ数年の身体状況等から判断して、独居生活は今後は無理、同居も出来ないので老健入所を考える。

【イズさんの生活状況】
◆ある時期から長男一家と同居。妻が15年前に亡くなり、その後、長男一家は別居。それ以来一人暮らし歴約10年。
◆住まいは戦後からずっと住み続けていた都内の古い家で、隣にイズさんの兄一家が二世帯で住んでいる。
◆料理は自分で作るのが好きだったが、ここ数年はほとんどしなかった。
他の家事もほとんどしない。
◆介護保険は発足当時の2000年に掛かりつけ医に勧められて手続きし、当時から要介護1。
◆隣に住むイズさんの兄一家(二世帯家族)に何かとお世話になる。
◆2005年、頻繁に倒れるので、隣の兄一家宅に通じるナースコールを設置。
◆頻繁に倒れる父の様子をみるため、2004年秋から月に2回イズさん宅をえすえが訪問。
家事やケアマネとのやり取りをする。
◆2005年6月、初めて老健入所する直前は、週1回デイサービス、週4回訪問ヘルパー。(曜日により1.5時間と2時間)
◆過去に配食サービスを利用したこと有り。

【イズさんの病歴概略】
◆体格が良く、元々高血圧だったが元気で大きな病気はしたことない。
◆今から3年前の2003年頃から、時々「一過性脳梗塞」(一過性脳虚血発作)を発症していた。
当時、すぐに治ったので私達には伝えられてなかった。
◆2004年からは頻繁に「一過性脳梗塞」で倒れ(殆ど自宅以外で)、救急車で病院に。
それぞれ短期入院または日帰り。
◆「一過性脳梗塞」で倒れることの間にも、2004年1月、「大腸憩室炎」で短期入院。
◆2004年、自宅で「ぎっくり腰」を起こし、1カ月入院。
◆2005年1月、デイサービス中、「一過性脳梗塞」で救急車、病院日帰り。
◆2005年2月、「一過性脳梗塞」(外出先で)で救急車入院。
◆2005年3月、「出血性胃炎」のため下血。
◆2005年3月、上記の下血のため通院先の医院で「一過性脳梗塞」で倒れ、別病院に救急車で入院。
◆2005年3月、私の提案で老健入所を粘り強く勧める。
◆2005年4月、本人、ケアマネ、掛かり付け医と相談の上、老健入所の手続きをする。
◆2005年6月末、私の家から自転車で5分の老健に入所。現在までずっと入所中。
◆2005年9月、老健で「大腸憩室炎」の下血を繰り返し緊急入院。2週間入院。
◆2005年10月、老健で「一過性脳梗塞」の発作、救急車で入院20日間。
◆その後、経過良好のため現在の老健から退去を言い渡され、
10月の要介護判定を待ち、次の老健に移る予定。
◆要介護判定結果が要支援となった場合、有料老人ホーム入居を検討中。

【イズさんの呼び寄せを可能にした条件】
◆昔から住んでいた家だったが、家にも土地にも未練はなかった。
◆私の自宅近く、自転車で5分の所に老健があった。
◆他にも自転車で20分圏内に何ヶ所も老健がある。
(老健は3カ月単位の入所施設。更新で継続も有り。転所も考えた上で)
◆先々のことも考え、老健だけでなく、生涯入居出来る特養や有料老人ホームも、私の自宅周辺には多数あった。

【イズさんの呼び寄せまでの障害】
◆イズさんがそれまで経験したことのない、老人施設入所を説得すること。(ショートステイの経験なし)
◆当初かなり嫌がったが、何度も粘り強く説得することで同意を得た。

【イズさんを呼び寄せ後】
◆入院やデイサービスで施設生活にある程度慣れていたため、老健でも大きな問題は起きていない。
◆一人暮しの在宅生活よりも、突然倒れた場合に対応出来る安心感が大きく、自宅より快適な生活で満足している。
◆自分と同世代の人が大勢居るため話し相手が増え、行事等も楽しみ、老健に入って良かったと満足している。
◆若い老健職員と日常的に接触しているので、自宅で独居生活をしていた時よりも、活気が出た。
◆老健入所後も2度の緊急入院があったが、適切な対応で満足している。
◆不満は、勝手に一人で買物に行ったり、お菓子を食べられないこと、お酒が飲めないなどの制限があること。
◆多少、人間関係に気を遣うことがある。
◆自宅はそのままで、現在イズさんの長男が仮住まいしている。

【一般的な場合の呼び寄せ介護成功の条件 続編】
◆呼び寄せの条件は元々揃っていなくても、少しでも揃えるように努力することで解消。
たとえば、移転先の周辺事情を親が全然知らなくても、慣れるまで一緒に散歩したりして、共に周辺事情を知ることもできると思います。
お友達や知り合いがいなくても、慣れるまで一緒に行動して、地域のイベントなどにも共に参加、知り合い作りの手助けをすることもできると思います。
◆お墓
前回の「呼び寄せ介護」で書いたお墓については、年取ると気になりつつも、結局は自分で行けなくなったりするものです。
その代わり、子供の代の私達が代わりにお墓を守ったりすることの方が多いかもしれません。
お墓が遠くなっても、子供の代の私達が代わって行く事ができる環境にあれば、親が行くことが難しい距離でも良いと思います。
◆冠婚葬祭
親戚関係の冠婚葬祭も、親が年を取ると健在であっても出られなくなることが多く、子供が代わりに出ることが増えるでしょう。
私の父も義父もそうですし、親戚関係をみているとそうなってきています。
ですから、親戚関係と必ずしも近い距離に住まなくても、子供が対応できる環境であれば良いと思います。
つまり、親の手助けの行動が取れる事、親の代役が務められること、などが住まいの環境などの諸条件より大切になってきます。
それが可能であれば、呼び寄せは成功と言えるかもしれません。

[用語解説]
(※1)大腸憩室炎
憩室とは大腸の壁の弱いところにできるポケットまたは袋のことをいいます。
多くはS状結腸や左側結腸にできますが、大腸のあらゆる部位にできることもあります。
憩室炎とは憩室が炎症を起こしたり、穿孔(腸管に穴があくこと)が起こった状態のことをいいます。

(※2)一過性脳虚血発作(一過性脳梗塞)
一過性脳虚血発作(TIA)は、脳への血液供給が一時的に遮断されるために起こる一時的な脳機能障害です。

[参照]
>メルクマニュアル医学百科

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ