介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第82回 認知症中期のタクさん その16(帰宅願望2) (2006年10月4日)

今回も、前と同じ2002年夏、「右膝にひび」の時期のことです。

◆帰宅願望を叶えさせる
今回もまた、父とおやつを食べ、お茶を飲んでいると「お勘定は??」で始まり、「家に帰る!!」と父は言い出し、「泊まっていったら?」と言っても聞いてくれませんでした。
仕方なく、「じゃあ、一緒に帰ろうか?!」と言って父と一緒に玄関を出ました。
父は「右膝ひび」が結構痛い時期で、痛がって歩きがゆっくりなので遠くへは行けません。
私は父の腕を組んでマンションのエレベーターで上の階へと連れ出しました。
「ほら!遠くまで見えるよ!眺めがいいよ~♪」と父の気を「帰宅願望」からそらせてみましたが、一途な父は「そんなのどうでもいい!!」と見向きもしません。
「早く家に帰ろう!!」と言うので、またマンション内を歩き回り、別の階へ行ってみたりしました。
「何か変だなぁ???」と、子供騙しの手段に父は怪しんでいました。

30分程マンション内を父とうろつき、怪しい親子をやっていました。
「脚、痛そうだね?もう家に戻ろうよ!」と言うと父は素直になり、いつもの自宅に戻りました。
自宅の玄関に入る時、何か言い出さないかと心配でしたがスムーズで、もう父の帰宅願望は消えていました。
その日はもう、「家に帰る!」は言いませんでした。

結局、「本人の気持ちを汲んであげ、気分転換をすれば良い」ってことのようです。
これは、帰宅願望だけでなく、認知症の人の「周辺症状」の緩和に使える手段だと思います。

<注>「周辺症状」
認知症の人の症状として、「中心となる症状」の「記憶障害」「見当識障害」
(今はいつ?ここはどこ?)「判断力の低下」などがあり、必ず見られる症状です。
それに伴って起きる症状のことを「周辺症状」と言います。
「周辺症状」には「不安」「依存」「妄想」「幻覚・幻聴・幻視」「抑うつ」「攻撃」「介護への反抗」
「睡眠障害」「異食・過食」などがあり、人によって起きる起きないの差があります。

[参考サイト]
>認知症を知るホームページ[イーローゴ・ネット]

[参照]
>タクさんの病歴と経過 その2

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