介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第21回 抜歯後のタクさん(2006年8月2日)

16本抜歯してから今日で五日目。
その間、昨日を含めて二回特養に様子を見に行ってきました。
もう抜歯そのものの痛みはないと思われるのですが、タクさん食事にムラがあるようで、あまり食べられていません。
今月はさらに一層痩せてしまいそうで、体力面が心配です。

おやつの時間に行った日曜日は、特養で用意された一口サイズに切り分けた餡入りクレープを、ムシャムシャ時間をかけて何とか食べました。
プリンもいくつか持って行き、冷蔵庫に入れて置いてもらいました。

昨日は夕食時に介助に行きました。
う~む、ダメだ~!
以前からの「きざみ・とろみ食」ですが、ほとんど食べられない状況です。
口の中に入れたまま、もぐもぐしないので、父に声をかけて促します。
「あれ?お父さん食べてないのかな~?」と笑顔で声をかけると、父はニヤッと笑ってうなずいて、急に思い出したようにモグモグします。

いつもの飲み込み手段、お茶を含ませて飲み込ませるのも、あまり効果ないです。
口をキュッと結んでることが多く、コップを口に持っていって「お茶だよ。飲んでね~」と言っても、今までのように、口をパクッと開けてくれなかったりします。
口の中にある食べ物をそのままにして口を開ける行為が、歯が無いためこぼれそうに感じるのか、今までのようにできなくなったみたいです。

結局、1時間40分かかって、どの皿もお茶碗も、3さじ位ずつしか食べられませんでした。
施設にいつも用意してある食べられない時の栄養補助ドリンク「エンシュワ」を、ナースの提案で一日一缶から三缶に増やしました。
「エンシュワ」は父の好きなミルクティーに色も味も似ています。
幸い飲み物なら、勧めれば(飲ませれば)どんどん飲んでくれます。

もう痛くはないようなので、あとは歯茎が固まるのと、食べることに慣れるだけなのですが…。
慣れることが普通の人のようにはできず、難しいのかもしれません。
歯が全くなくなったことで、食べることに(噛むことに)相当な違和感があるのかもしれません。
重い認知症のため、口の中の状況が変わったことで、食べること(特に噛み方)をどう処理したらいいのか分からないのかもしれません。

重い認知症のため、食べ物の形や名前も忘れてしまったので、食への思いはない。
食への思いがないから、空腹感も湧かず、従って食欲もない。

「何で食べたくもないのに、食べなきゃならないの?」と、父は思っているのかもしれません。

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