介護のコラムを読む

介護日記・二人の父の雑記帳

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第17回 父、タクさんの歯の経過(2006年7月29日)

父は昔から歯が悪い人でしたが歯科治療には積極的だったし、電子歯ブラシやお口くちゅくちゅモンダミン、とか熱心でした。
認知症になってからも、私と一緒にずーっと歯科通院していましたが、今から4年位前には歯科に行くのを嫌がるようになり、
治療中「何をする!!」と拒んで、とうとう通わなくなりました。
部分入れ歯を作っても、認知症特有の症状で自宅で無くしてしまいました。

認知症になると、何事にも拒否が目立ってくるのですが、歯も磨くのを嫌がるようになり、せっかくセッティングしても滅多に磨かなくなり、食後爪楊枝でしばらくつついてるだけの状態になりました。
次第に虫歯や歯槽膿漏がじわじわ進行してグラグラの歯が増えてきました。

3年前に1カ月半ほどグループホームに入っていたとき、訪問歯科が来て歯の掃除程度はやってもらっていたようで、入居者皆と一緒なら嫌がらずに診察を受けていたようでした。
グループホームを退去して在宅になったとき、グループホームでお世話になった訪問歯科に来ていただいて、化膿した奥歯を自宅で抜歯したこともありました。
抵抗する父を歯科衛生士さん二人が父を取り押さえて抜歯しました。可哀想でしたが仕方ありません。

2年前に現在の特養に入った頃には、訪問歯科に診て貰っても、拒否して滅多に口を開けない状態でした。
訪問歯科の日に時々立ち会ったことがありましたが、歯科の先生や歯科衛生士さんがとても優しく気遣って対応しても、治療はおろか歯の掃除もできない状態でした。
私が手を取って歯磨きを誘導すると何とかやってくれて、歯科衛生士さんは「やはり娘さんだと違いますね~」なんてことも。
そして、昨年からは認知症が一層進み、水を飲むことはできても吐き出せず、うがいもできなくなっていました。

特養に入居した2年間に、歯がグラグラして折れてしまったのが4本位ありました。
残る歯が少なくなり、次第に一般食が食べにくくなり、食欲が衰え、昨年秋からは歯に負担がかからない「きざみ・とろみ食」になりました。
しかし、とろとろした食事は父の好みではないし、歯槽膿漏のため歯茎は腫れやすく、食は進まず、ますます体重は落ち、従って体力も落ち、体力が落ちると気力も落ち、すべて悪循環でした。

そのため半年位前から、訪問歯科の先生に口腔歯科で残っている歯根の除去と抜歯を勧められていました。
今ある歯は認知症のため治療が困難なので抜歯するしかない。
歯根だけ残っている歯は、歯槽膿漏悪化の原因になるので、美味しく食事をするためにも抜くしかないと説明されてました。
全部の歯を抜くしかないのです(涙) 辛いです。

全部抜いてしまっても、入れ歯を作ることが認知症のため困難なのです。
要するに口を開けない、歯型を取る間じっとしていられない、歯の噛み合わせ感覚を伝えることができないので噛み合わせなどの微調整ができない、というわけです。

先が長くない父、体力的にも衰えている父に抜歯の苦痛や負担をかけたくなかったし、なるべくなら何もせずに様子を見たいと言って半年経ってしまいましたが、歯の状態は悪くなるばかり。
結局、最近になって父の体調が冬より落ち着いてきたので、口腔歯科で抜歯する決断をしました。
この先、体調が悪く、歯も具合悪く食べられなくなって、「胃ろう」などにするしかないのは絶対避けたかったからです。

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