認知症の方が生活するグループホームにAさんの面会に行きました。Aさんのお部屋は一番奥です。そこに向かって廊下を歩いていると…Bさん(もちろん初対面)から「あんた、何歳になった?」と声をかけられました。「私は昭和43年生まれで…」と言うと「あ~75歳か。」とご納得。うーん、しっかり同世代に位置づけられました。
そうこうしているとCさん(もちろん初対面)が、私のキャリーバッグを持ってスタスタ歩いて行かれる…。「どちらへ?」と訊くと「山形へ。ちょうどええカバンがあったから今から山形に行きますわ」。「あら~、残念ですけど、私も今からこのカバンを持って出かけるんです」と返していただきました。
そうこうしているとDさん(もちろん初対面)が私の肩をトントン叩いて「どうする?」とおっしゃいます。どうするって言われても…。「ワシは今から帰るけど、アンタどうする?」。あ、なるほど、そういうことね。「私はもうしばらくここにおらせてもらいますね。」と答えてDさんも一緒にもう少しこちらに滞在していただくことになりました。
そうこうしているとEさん(もちろん初対面)が「あそこにいる男の人と女の人が…」と指差す先には誰もいない。でもEさんには見えてらっしゃるのですね。
そうこうしているとFさん(もちろん初対面)が「お茶をいただいたのでお支払いを…」とおっしゃる。そのご心配はいりませんよ。あーん、Aさんのお部屋になかなかたどり着けない。
でも、なんというか、皆さんがのびのびとご自分の世界を生きてらして、雰囲気がピリピリカリカリしてなくて、スタッフさんがにこやかに、そしておおらかに(と見えて実は緻密に)対応されている様子が、とっても平和な感じなのでした。