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【第342回】ご近所さん(2010年11月29日)

Aさん宅を訪問すると「一緒に行ってほしいところがあるの」とご家族さんがおっしゃいます。何事!?と思いきや、その行き先とは同じマンションのご友人のおうち。

その方とは、信仰も同じで、ずっと以前からいろいろと相談している間柄だそうです。そのお友達も介護の経験がおありなので、最近は介護のことも何かと相談されていたようです。そのことは時々話題に出てきていましたから、私としても一度お会いしておきたいと思っていました。というのも、正確ではない情報もお伝えになっていることがあり、ご家族さんが混乱されていることもあったからです。

そのご友人宅で3人でテーブルを囲みました。あまりないシチュエーションです。そのご友人は、遠く離れた他県で最期は施設でお身内の方を看取られたそうです。そのご経験から、施設入所をすべし!そのためには…とレクチャーされます。家族の動きが鈍いからと、そのご家族さんの子どもさん(Aさんの孫)にまで廊下などに会った時に、施設入所の重要性を説かれたようです。それでも埒があかないから「ケアマネさんを連れてらっしゃい!」ということになったのですね。

もちろん、介護のご経験がある方のアドバイスは重要です。立場や気持ちを分かり合える人がいることもとても大切なことです(だからこそ、この親ケア.com のような場が求められているのですよね)。ですが、今回のように、ご自身の経験のみを正解としてそれに関する情報だけを(しかもご自分の知っていることのみを)助言してしまうのは危険なことです。とは言え、悪気はなくご親切なお気持ちではありますし、ご家族さんも頼りにされていますから、そこは双方の立場や気持ちをくみながら、状況を整理し道筋を考えていきました。

最初、そのご友人さんは、私のことを良くは思っておられなかったと思います。「なぜ施設入所をもっと強気で勧めないのか」と。ですが、後半はご友人さんの口から、「ケアさん(ケアマネさんと言わず、ケアさん。ケアマネジャーという職名もきちんと理解されていないようです)にいろいろ相談して…」とか「プロに相談して…」という発言もでてきたので、少しは信頼していただけたのかなと思います。

Aさんのご家族さんが、このご友人との関係も大事にしながら、でも惑わされることなく、Aさんのご家族なりの納得できる方向性を見いだすためにサポートしていけたらなと思います。

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