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【第327回】いくつになっても女心は…(2010年10月27日)

Aさんは、大正生まれの小柄で華奢な一人暮らしの認知症の女性です。週1回からスタートしたデイサービスも、いまや日曜日以外の週5日通われるようになり「毎日が楽しい」とおっしゃいます。

そんなAさんに、デイサービスのことをいろいろお聴きしていた時のこと。「デイの食事がおいしい」と言われるAさんに「良かったですねー。一人じゃなかなか作れませんもんねー」と答えました。するとAさんは「毎日、ごちそうをいただいて、おかげで栄養状態も良くなったと思う」そして次に衝撃的な一言が。
「お胸もふっくらしてきたし♪」
はい??? 「お胸がふっくら」とおっしゃいました??
「お胸が垂れる」ではなくて???

認知症の方でもあるし、ご自分の状況を何か混乱されてるのかなとさえ思ったほどです。数秒の間があったのちに「お胸がふっくら…ですか?」とジェスチャーつきで尋ねる私に「そう♪」とジェスチャーつきで答えるAさん。そしてこのようにお気持ちを話してくださったのです。

「私はとっても痩せていてガリガリで、デイに行き始めたころは、お胸も肋骨にポチンと乳首がついてる程度。そんなハダカを見られるのが恥ずかしくて、デイのお風呂に入る時も隠しながらコソコソしていた。でも、デイに行くようになって、しっかりゴハンも食べるようになって、お胸がふっくらしてきて、ハダカを見られるのも平気になった。やっぱりねぇ、女性らしいカラダでないとねぇ。肋骨にポチンではねぇ…」と(いう意味のことを流暢な大阪弁で)ニコニコとおっしゃるのです。

あらまぁ~そうですか。聞いている私は、おかしいやら、かわいらしいやら、愛おしいやらで、涙がでるほど大笑い。いや~いくつになっても(80代後半ですよ!)女心というのは繊細なのだなぁとしみじみ感じました。それにしてもAさん、私がお見受けしたところ、全体的には以前から変わらず小柄で華奢なままに見えるのですが、本当にお胸がふっくらされてきているのでしょうか?

さすがにそこまでは確認しませんでしたけれど、まぁ、ご本人がそう思ってらっしゃってハッピーなのですから良しとしましょう。100歳までこのデイに通いたいとおっしゃるAさん。毎日通って、楽しく過ごして、おいしい昼食を食べて、ますます磨きをかけてステキな100歳になってくださいね♪

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