介護のコラムを読む

社会福祉士たにこが行く

戻る

【第325回】こうして老いを…(2010年10月17日)

マッサージに行きました。20代前半とおぼしきスタッフさんが肩を揉んでくれながら私に訊きました。
「肩こりは、若い頃からひどかったんですか?」 ん?肩こり?若い頃から?いえ、そうでもなかったけど…。

いやいや、ちょっと待て。なんだ、この違和感は。
アナタ、今、なんのためらいもなく「若い頃から」って言ったね? つまり明らかに、躊躇なく私を「若くない人」に分類したってことよね? いや、確かにその分類は間違ってないよ。 だけど…。 もちろん、私自身、自ら「若い頃は…」って思う場面は多々あるけれど、でも口にするのは抵抗があって「学生の頃は…」とか「20代の頃は…」って言ってるな。往生際が悪いかな。

「若い」という言葉が私に向けられる時は、「若いですね」とか「まだまだ若い」(高齢者との関わりが多いので)とか、私を「若いグループ」に位置づけてのことでした。今までは。 もしかして、今日、初めて「若くないチーム」のバッターボックスに立たされて、いきなり直球投げられた?「(どう見ても今は若くないあなたですけど)若い頃から肩こりひどかったんですか?」って。 人生で初めて、「若い」という言葉が「今の私」ではなく「過去の私」に対して他人サマから使われたわけね。

いや~、もしかして電車の中で初めて席を譲られた時の気持ちってこんな感じ? 私、長い間、自分で自分のことを「おばちゃん」って言えなかったのだけど、30代後半でかわいい姪っこが生まれてからは、そんなことおかまいなく、「おばちゃんが抱っこしたげる~」とようやく自らを「おばちゃん」と呼べるようになったのでした。

もしかしたら、次のステップは、自分で「私が若かった頃にはね…」なんて言えるようになることかも。それが言えるようになった時こそ、若さへの執着がなくなっているのかも知れません。 今はまだ中途半端に「若さ」に軸足を置いたままなんですね、きっと。 「老い」を素直に受け止めつつ、でも気持ちの「若さ」は保ちつつ、上手に歳を重ねていきたいです。

それにしても、私もこれまで何も疑わずに「お若い頃は…」なんて言ってたけど、人によってはショックを受けた方もおられたかも。未熟な私でした。 肩の重さは解消されたけど、気分はなんだかしみじみと、マッサージ屋さんをあとにしたのでした。 人生折り返し地点、こうして少しずつ老いを自覚していくのかな。

親ケア.comオンラインサービス「繋がる」
おやろぐ