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【第263回】老夫婦と小学生(2010年4月30日)

電車の中の光景です。遠足帰りの小学生が電車に乗ってきました。低学年です。かわいらしいですね。その小学生に、座っていた老夫婦が愛らしさに目を細めながら声をかけました。「何年生?」「それは何?」「どこに行ってたの?」…などと会話が広がっています。ほほえましく見ていたのですが、次の一言で雰囲気が変わりました。「お名前は?」。

そう訊かれた小学生、「知らん人に名前教えたらアカンねんでー。センセイに怒られるねんでー」と必死の応答。うーん。確かにそうなんだけど、だけど、この老夫婦は、どこをどう見ても「不審者」とは程遠く、人の良さがにじみでています。名前を答えたところで、悪用される心配は0%と断言できます。だけど、子どもは、不審者とそうではない人を見分けるなんて無理ですよね。時代の流れとは言え、電車の中の小さなふれあいさえもシャットアウトしてしまうのは、なんだかかなしいですね。全員のリュックサックについていた“防犯ブザー”と“ お名前隠し”とともに、彼らを取り巻く環境に思いを寄せたのでした。“知らない人”をまず疑わざるを得ないのは、彼らの人生にどう影響していくのかな…。

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