Aさんは、もう一度「しじみ汁が食べたい」とおっしゃいます。だったらスーパーでしじみを買ってきて…と思うのですが、それはAさんの希望とは違います。Aさんは「昔、味わった“しじみ汁”をもう一度食べたい」のです。
Aさんがおっしゃるには、昔は、お料理をしている段階から“しじみ”の香りがして「今晩は“しじみ汁”だ」とか「このお宅は“しじみ汁”を作ってる」とわかったそうなのです。それに比べて最近の“しじみ”は全く匂いがせず、食べてようやく“しじみ”とわかる程度とおっしゃいます。そうか…。もしかしたら私は、Aさんの味わったような“しじみ汁”は体験したことないのかもなぁ…。食べ物全体が昔と比べてあっさりしてきて、その食物特有の味わいとか匂いなどは薄れてきているのかも知れません。
Aさんの味わった“しじみ汁”を再現するにはどうしたら良いのでしょうかねぇ…。もはや幻なのかしら。