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【第254回】ストローで(2010年4月15日)

Aさんは糖尿病で片足切断、もう片方の足も指が壊死したので足先を切断しました。カラダのあちこちが悲鳴をあげています。医師も、食事指導をされたり、アルコールは控えるようにと指示されますが、何と言っても自由気ままなAさん。一向に改善される気配はありません。ヘルパーや訪問看護師のさまざまな試みも、受け入れられないままです。どころか、時には怒られたり怒鳴られたり。薬も、きちんと服用されません。医師との話し合いの結果も、医師いわく「本人にその気がないなら仕方ない」。

さてそんなAさんのところに朝10時に訪問に行きました。お部屋に行くと、ベッド上でストローで飲み物を飲んでおられます。最近は座ることも不安定になってきたので、寝たままです。その飲んでおられる飲み物は…お茶?水?ジュース?いえいえ、缶ビールです。朝10時からベッドに寝たままストローでビールですか。でも私はそんなことでは驚きませんよ。

「Aさん、ええもん飲んではりますねぇ」と声をかけると「そやろ? 口で直接飲むより、ちょびっとしか飲まれへんから、飲む量は少ないで。センセイにも酒は控えるように言われとるしな。」とご満悦。Aさんにとっては、努力の結果なのですね。そして幸せなひとときなのですね。うーん、でもなぁ…。ジレンマの日々です。

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