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【第272回】点滴(2010年5月31日)

「身体が弱ってきたら点滴」と思われがちですが、むくみがあったり、体内の処理能力が低下している場合は、点滴をすることが余計に身体に負担をかけることになります。必ずしも点滴をすることがその方のためになるとは言い切れないというわけです。

Aさん宅の往診医は、そのあたりを丁寧に説明してくださいます。Aさんは、今は、点滴をする必要がない(というより余計に負担となる)ご状態なのです。ところがご家族さんは、Aさんの衰弱されている様子をみて「せめて点滴をしてやってほしい」とおっしゃいます。往診医も訪問看護師も、このままでは「何にもしてくれない」とお怒りになってしまうし、それ以上ご納得いただける説明ができず、少量の点滴の処置がなされました。

家族の安心のための点滴です。もちろん医師によっていろいろな方針があるでしょうから、今回の点滴が全く間違った処方であるとも言えません。ただ、おそらくこのまま最期を迎えるであろうAさんにとって何が本当に必要なのかを、しっかりご家族さんとともにもっと考えたかったな…と感じているのです。Aさんの最期の看取りに向けての今後のプランについて、明日ご相談してきます。家族の納得、Aさんの希望、医療の立場…難しいですね。

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