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【第240回】写真(2010年3月9日)

今日は、訪問先で写真にまつわる話題が続きました。

Aさん宅にて。Aさんは、お若い頃「モダンな女性」だったとおっしゃいます。ぜひお写真を見せてほしいと前回訪問時にお願いしていました。今日訪問すると「本当は袴の写真を見て欲しかったんだけど、見つからなくて」と、4枚の写真を見せてくださいました。10代、20代、30代、40代のとても美しいAさんです。セピア色のお写真が歴史を感じます。80代後半のAさん。写真を見ながらいろんなことを話してくださいました。お写真の若いAさんと、目の前のAさんが、私の中でつながっていきます。「要介護状態の利用者Aさん」ではなくて「Aさん」にお会いできた気がしました。

Bさん宅にて。次に訪問したBさん宅ではテーブルの上に、前回はなかった「デジタルフォトフレーム」がおいてあります。娘さんがプレゼントしてくれたとのこと。Bさんは毎日眺めておられるのだと、妻さんが教えてくださいました。かわいい2人のお孫さんのお写真が次々とでてきます。「これは○○に行った時」とか「これは○○で…」とBさん自身が楽しそうにお話してくださいます。「お孫さんは可愛いですか」という私の愚問に「そりゃあもう♪ 食べてしまいたいくらい」とBさん。横で妻さんが「でも孫が来たら30分もしないうちに“疲れた。まだ帰らないのか”って言うのよ」とおっしゃいます。
「孫は来て良し、帰って良しって言いますものね」と言いながら、写真を見せていただいてました。

妻さんが「Bの、病気で倒れる前の写真も入ってるのよ」とおっしゃるので「それはぜひ見せていただきたいです」と言いながら、その写真がでてくるのを待ちました。なかなか出てきません。妻さんが「娘が、現在から過去に溯って写真を入れてくれてるから、Bの元気な頃の写真は最後のほうなのよ。」とおっしゃいました。現在から過去にさかのぼってる?今、見えてる写真は上のお孫さんが3歳くらいですね?ということは、まだまだ3年分以上の写真がありますね? 「すいません、これ全部見ると、どれくらい時間かかります?」と聞くと「2~3時間かなぁ」とあっさり。

それはさすがに困りますね…。「1枚1枚じっくり見せていただきたいのですけど、3時間かかるのは大変なので、Bさんのお元気な頃のお写真までスピードアップさせてください」と早送りボタンで見せていただきました。お孫さんの誕生前の写真になりました。思い起こせば、Bさんの発病と初孫誕生がほぼ同時という当時は大変なBさん一家でした。画面に現れる写真は、野球場で阪神を応援している元気なBさんだったり、妻さんとおでかけされているBさんの様子でした。

私は、職業柄、「何か起こった後」の皆さんとしかお会いしません。お会いするまでは、皆さん、平穏なおだやかな日々を過ごしておられたのだなぁとしみじみ感じたのでした。目の前のAさん、Bさん、Cさん…だけではなく、それまでのそれぞれの人生を感じていきたいなと(当たり前のことではありますが)再認識した今日の2件の訪問でした。

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