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【第197回】50年前の妻の立場(2009年12月12日)

金婚式を迎えられたAさん夫妻。妻さんに新婚当時のお話を伺いました。

50年の間には、もちろんつらい時期もあったとのこと。子どもの手をひいて実家へ戻ろうかと駅に向かったこともあったそうです。でもそれを踏み留めさせたのは…世間の目。妻さんは7人きょうだいの長女。もし離婚して実家に戻るようなことがあったらそれは「出戻り」と世間から指差され、きょうだい達の縁談に差しさわるほどの不名誉なこと。自分のことで、妹弟の縁談に迷惑は絶対かけられない。そんな思いで、つらい時期も乗り越えて、今は認知症のAさんと暮らしておられるのです。

「嫁入り道具に金だらいを持ってきた」と言われてもすぐにはピンとこなかった私。洗濯機などない時代、金だらいで家族の洗濯をしていたのですね。そんなお話を伺うと、今の結婚生活のしんどさなんてしんどいうちに入らないかもしれませんね。

時代が違うとは言え、たかだか50年前のお話。祖父母の世代のことです。夫婦円満に見えるAさん夫妻の50年分の重みと、その世代の方々の苦労のおかげで今の平和があるんだという感謝の気持ちを、しみじみかみしめたのでした。

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