Aさん宅を訪問すると、夫さんが、時計を分解されていました。数字盤がはずれ、中の歯車が見えています。古い時計です。訊くと、「最近、よく遅れるから油でもさそうと思って」とのこと。そしてその時計は、50年前、Aさん夫婦がご結婚された時にご友人からプレゼントされたものなのだそうです。
最近、こういう「モノを修理する」という場面を見ませんね。時計の中の歯車を見たのだって、私、もしかしたら数十年ぶりかも知れません。使えなくなったら捨てて、新しいモノを買う。そもそも、モノのしくみが分からないから、なんとか修理してみようとも思わない。…今はそんな時代ですよね。
ドライバーでなんとかなるアナログの温かさと、モノを大切にする誠実さと、50年の時の重みを感じたひとときでした。