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【第172回】「動く」ってどういうこと?(2009年9月13日)

「ナチュラルハートフルケア」を提唱し、広めようとしているネットワークの方の研修を受けました。先日、うちのレンタル事業所のスタッフが地域のヘルパーさん達を対象に「研修会」を行なったのですが、その内容から、スタッフ全員がこの話を聞こうと再度講師をお招きし、「内部研修」を実施したのです。

「ナチュラルハートフルケア」とは介護技術をテクニックとして覚えようとするのではなく、「相手の動き」を理解して、お互いの体が良い状態でいられるように…というスタンスです(こうして書くと当たり前のようなのですが、現場では、そうではない介護技術が蔓延しているのです)。

「動く」ってどういうことなのか?から研修がスタートしました。実際に歩いてみて体感しました「動く」とは「重心が移動すること」。つまり「体重のかかる場所が変わること」なのです。その「体重のかかる場所が変わること」を理解して、相手の動きをサポートすれば良いわけです。

いわく「介護が大変、重い!と思うときには、体重移動が十分に行なえていないうちから動かそうとしていることが多いのです。いわゆる持ち上げ介助になっているときです。重い!と思ったら、すぐ対象者の体の状態や体重のせいにせず、自分の介護方法を見直してください。介護者に負担の掛かる介護は、対象者に不快感、不安感を与えます。…(中略)…私達が日常で行なっている基本的な動作で介護をすればうまくいきます!…」(ナチュラルハートフルケアネットワーク作成の配付資料より)

ヘルパー講座などで指導されている「ボディメカニクス」も体の動きを念頭においたものですが、どちらかというと物理学(?力学?工学?)的なスタンス(小さくまとめると指一本で人を動かせます!というのは、驚嘆の声があがります)、さらに、相手の固有の動きに沿ったスタンスだと思いましたし、相手を大切にしていると感じました(相手は人なんだから、指1本で動かそうとするなんて失礼)。

私は実際に介護をする立場ではないけれど、「介護の人」を連絡・調整する立場として、また「介護の人」を養成する立場として(介護技術は教えてないけれど)、今回の話は非常に有益なものでした。

主催者の理学療法士さんは「まずは専門職に広めていきたい(でなければ定着しない)」とおっしゃっています。この「ナチュラル」で「ハートフル」な介護方法が浸透していくことを願い、私は私の立場で、このスタンスを大切にしていきたいと思いました。

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